日本銀行が事務局を務める金融法委員会が、金融機関が預金にマイナスの金利をつけて口座からお金を差し引くことは契約の解釈上できない、との見解を公表したという記事。
「見解では、預金の利息は「預金者が支払うべきものとは解されない」とし、マイナス金利を口座から差し引くことは「預金当事者の合理的な意思解釈によればできない」と指摘。貸し出しについても、契約に明記された場合を除いては、マイナス金利を貸し手が払うのではなく、単に借り手が払う利息がなくなると解釈するのが合理的、とした。」
預金金利、マイナスは不可 金融の有識者が見解(日経)(記事冒頭のみ)
マイナス金利の導入に伴って生ずる契約解釈上の問題に対する考え方の整理(金融法委員会)(PDFファイル)
問題意識として以下のように書かれています。
「日本銀行は、平成28年1月28日・29日の金融政策決定会合において、金融機関が有する日本銀行当座預金の残高の一部に-0.1%のマイナス金利を導入することを決定した。それを受けて、変動金利連動型の金銭消費貸借や変動金利を参照するデリバティブ取引等において基準となる金利指標(LIBOR、TIBOR等)がマイナスとなる事態が現実のものとなっている。今後は、金銭消費貸借契約や金利スワップ契約等において、マイナス金利を想定した定めを置くことが期待される。しかし、現在行われているこれらの金融取引において、マイナス金利を想定した定めを置いている例は必ずしも多くはないし、今後もこれらの金融取引のすべてにおいてそのような定めが置かれることとなる保証もない。そこで、マイナス金利を想定した明示の定めのない金融取引において、契約解釈上生じ得る不明確性をできる限り解消し、取引の安定性を高めることを目的として、考え方の整理を試みたい。」
「マイナス金利を想定した明示の定め」があれば、それに従うわけですから、マイナス金利の預金や貸付も、契約次第では、ありうるということでしょう。
預金については...
「...寄託の対価又は預金口座を通じたサービスの対価を預金約款に従って徴収する余地はあるにしても、市中金利がマイナスとなった場合に、普通預金・変動金利定期預金などに適用される店頭表示利率としてマイナスの値を定め、その絶対値を用いて計算した金額を利息支払日に預金残高から差し引くことは、預金当事者の合理的な意思解釈によれば、できないと考えられる。」
ということで、金利指標がマイナスになったからといって、普通預金などの金利がいきなりマイナスとなり、預金者が金利を支払うという事態にはならない(という解釈の)ようです。
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