日銀総裁が衆院予算委で、金利が上昇した場合の金融機関に生ずる評価損について答えたという記事。
「日銀の白川方明総裁は23日の衆院予算委で、金利が1%上昇した場合に、保有国債などの値下がりで国内銀行に計6兆3000億円の評価損が生じるとの試算を明らかにした。」
大きな金額には違いありませんが、デフォルトにならない限り、満期がくれば国債の時価は額面まで回復するわけで、評価減したあとは(上昇後の金利に見合った)高い利回りの利益が得られます。そもそも、満期保有に分類している場合には、会計上、評価減を計上する必要はありません。また、調達側にも固定金利のものがあれば、そちらでは(会計上認識するかどうかは別として)評価益が生じます。
もちろん、銀行は自己資本で国債を買っているわけではなく、預金者から集めた預金で買っているわけですから、預金金利が急激に上昇したりすれば、銀行の経営に悪影響が出るのかもしれません。しかし、そういった事態は、銀行経営上、想定内のはずですから、たぶん対策は取っているのでしょう。
このあたりは金融機関に詳しい人に聞きたいものです。
金利1%上昇で大手行損失3・5兆円…日銀試算(読売)
「最近は金利が低下傾向にあり、金融機関の業績を押し上げる要因になっていた。だが逆に、金利が上昇すれば金融機関の財務に大きな影響を与える恐れがあることを認めた。
ただ、貸出金利も上昇するため、金融機関にとって融資でのもうけは増えることになる。
国内の金融機関は大手行を中心に貸し出しが伸び悩んでおり、手持ちのお金を運用する手段として、国債を中心に大量の債券を保有している。日銀のまとめによると、国内金融機関の保有国債残高は昨年12月末時点で過去最大規模の約163兆円にのぼっている。」
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