ヤマダ電機の2008年4―6月期の連結経常利益が前年同期に比べて4%減ったという記事。
売上高は12%増の4400億円前後になったそうですが、「郊外店の売り上げが苦戦したのに加え、競争激化で販売促進費を積み増した」ため減益になったようです。
(ヤマダ電機のチラシが自宅に頻繁にはいるようになったので)少し気になるのが、ポイント値引きの会計処理です。
週刊経営財務7月28日号の「国際財務報告基準の解釈指針」第3回 マイレージ・ポイントの会計処理(下)」という記事では、IFRIC解釈指針第13号(ポイント分の売上を繰り延べる処理を強制)の日本への影響についてふれています。
「(ポイント付与額と同等の金額を引当する)aの場合、当期純利益への影響という観点からは、IFRIC解釈指針第13号とほぼ同じ結果となります。・・・ただ、引当処理の場合は、相手科目は必ずしも売上高ばかりではなく、費用科目を使用しているケースも多いと思われます。その場合、勘定科目の表示が異なります。すなわち、P/Lのトップラインの売上高を減額するのか、それとも途中の経費科目を使うのかという違いになります。ただし、収益の認識という観点では、・・・考え方はまったく異なります。・・・財務諸表のすべての指標に影響を与えます。
次に(将来のポイント行使によって発生する追加コストを引当する)bのケースでは、当期純利益に対しても大きな影響を与えます。・・・」
ヤマダ電機の有報(2008年3月期)の会計方針の注記では以下のような記述となっています。
「ポイント引当金
当社及び当社と同様の事業を営む連結子会社は、将来の「ヤマダポイントカード」の使用による費用発生に備えるため、使用実績率に基づき翌連結会計年度以降に利用されると見込まれるポイントに対し見積額を計上しております。」
これを見る限りでは、ポイント付与額のうち利用見込み分を引き当てるということなので、仮に解釈指針第13号を適用しても、(利用見込みの見積り方法などのちがいを無視すれば)利益には大きな影響はないかもしれません。しかし、「費用発生に備えるため」の引当だとすると、売上のマイナスではなく、何らかの費用項目で処理しているのでしょう。そうだとすると、売上高には相当大きな影響が出てきそうです(チラシを見ると最低でも10%のポイントがついています)。
ポイントの会計処理とは関係ありませんが、会計方針を調べたついでに追加情報をみてみると、少し変わった記述がありました。
「携帯電話の販売に伴うインセンティブに関して、従来、他の家電商品と同様に仕入リベートとして売上原価のマイナス処理としてきましたが、金額的重要性が増加してきたことにより、携帯電話の販売実績をより適正に表示するため、当連結会計年度より売上高に計上することとしました。この結果、従来の方法によった場合と比較して、売上高及び売上原価が、それぞれ99,952百万円増加しております。」
この理屈が間違っているわけではありませんが、表示区分の変更で売上高が約1000億円も増えてしまったという点には注目すべきでしょう。
コンバージェンスのためにIFRIC解釈指針を日本にも導入するとなったら、たいへんな反発が生じそうです。
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