会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

板硝子、純利益150億円・前期のれん償却負担増響く

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日本板硝子の2007年3月期の連結純利益が前の期に比べ93%増の150億円になったという記事。

日経朝刊では価格カルテルの疑義告知に対して損失引当金(総額800億円)を計上し、それを20年で償却すると書かれていたので、どういうことなのか、同社ホームページを見てみました。(通常は罰金を繰り延べたりしないので。)

平成19年3月期業績予想(連結・単独)の修正、及び特別損失の計上について

これによると、昨年買収したビルキントン社が今年3月と4月に「欧州委員会より独禁法違反の疑いに関する異議告知書を受領したことを受け、当社は現地会計基準に従い、本件による将来リスクについて損失引当を行うことと致しました」ということで、推定過料額 総額 約3.5億ポンドを引当計上したようです。

これが、買収した後に発生した罰金だということになれば、当然親会社の連結決算で全額一挙に損失計上しなければなりませんが、おそらく買収時点以前から存在していた債務だと解釈して買収時点の負債の金額を増額修正し、それにより(買収の取得原価は変わらないので)取得原価とのれん以外の純資産(時価ベース)の差額であるのれんの金額が膨らんだ(膨らんだ分だけ毎期ののれん償却が増額される)ということのようです。

したがって、会計処理としては正しいのだと思いますが、買収価額の決定の際にこの罰金を織り込んでいなかったとすれば、約3.5億ポンドだけ日本板硝子は高い値段でビルキントン社を買わされたということになります。
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