「労働者協同組合」という新しい仕組みの法人を設立できるようにする労働者協同組合法案が、臨時国会で成立しそうだという記事。
「協同労働を担う組織「労働者協同組合」を設立するための規則を定めた労働者協同組合法案が、与野党全党・全会派の賛同による議員立法として、先の通常国会に提出された。臨時国会で審議されれば、全会一致で成立する見通しだ。
法案は、労働者協組は
(1)組合員が出資
(2)組合員の意見を反映
(3)組合員が組合の事業に従事
という3原則に基づいて運営されることを規定。労働契約も締結するとし、最低賃金などが守られるようにした。」
「企業組合を設立するには、都道府県知事の認可が必要なため手続きに時間がかかるが、労働者協組は認可は不要。NPO法人は組合員による出資が認められず、手がける事業も福祉、観光振興など20分野に限られているが、労働者協組は、組合員が出資して運営に参加することで労働条件などを自ら決められる。労働者派遣事業以外、どんな業種の仕事もできる。」
普通の会社であれば、出資者と経営者と従業員がいるわけですが、この仕組みだと、組合員がすべてを兼ねるということなのでしょう。
そういう仕組みがあってもいいとは思いますが、多額の資本が必要な事業はできないでしょう(そもそも想定していない?)。逆に、労働者である組合員に多額の出資を強いるようなスキームだと、労働者からカネを巻き上げる手段にもなり得ます。また、組合員が運営に参加するといっても、組合員間の力関係から、一部の人間が主導権を握り、やりたい放題ということもあり得るでしょう。法的な枠組みがあればすべてうまくいくということはないと思われます。
考えてみれば、零細な監査法人や税理士法人は、「社員」が出資者であり、経営者であり、実際に仕事をやる業務従事者でもあるわけですから、「労働者協同組合」と、理念はともかく、仕組みは同じといえなくはありません。
新しい法人形態だから、会計士協会あたりに、会計処理基準を考えてくれといってくるかもしれません。法案を見ると、会計に関する規定もあります。(もっとも、普通の会社と違うのは、剰余金の配当ぐらいかもしれません。)
「第五十一条 組合は、厚生労働省令で定めるところにより、その成立の日における貸借対照表を作成しなければならない。
2 組合は、厚生労働省令で定めるところにより、各事業年度に係る貸借対照表、損益計算書、剰余金処分案又は損失処理案(以下この条において「決算関係書類」という。)及び事業報告書並びにこれらの附属明細書を作成しなければならない。)
3 (以下省略)」
「第七十五条 組合の会計は、一般に公正妥当と認められる会計の慣行に従うものとする。」
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(東京新聞より)