「横領した7億円はほとんど残っていなかった」逮捕された伊藤忠商事の元エリート社員がハマっていたのは…“ギャンブルより怖い?”FXの落とし穴
『ギャンブル依存症』という書籍の宣伝記事(書籍からの一部抜粋)のようですが、ギャンブル依存の例として、伊藤忠商事の社員が海外出向先で約7億円を横領していた事件などを取り上げた記事。
この社員はFXにのめり込んでいたそうです。
「伊藤忠商事からニュージーランドにある森林木材事業の関連会社に出向していた30代の経理担当元男性社員が、12年から14年のあいだに約7億円を横領していた事件。架空の請求書を作成するなどして、会社の口座から自分の口座に資金を複数回送金させていた。
その全額をFX(外国為替証拠金取引)に注ぎ込んでいたが、社内監査が迫り、発覚は免れないと判断。自分から不正を会社に申告して懲戒解雇処分を受けている。」
エリートといわれるような人も、ギャンブル依存に無関係ではなく、むしろリスクが高いとのことです。
「FXなどの投資商品にハマってしまうのはエリートやそれに近いサラリーマンに多いのですが、この事件もそうだったといえます。
この元社員は灘中、灘高から東大に入り、大学院まで進んでから伊藤忠商事に入社していたようです。しかも30代の若さで海外の関連会社に出向して、個人の裁量で多額の資金を動かせる地位に就いていたそうです。」
「...「病的賭博者100人の臨床的実態」をまとめた森山成彬先生も、ギャンブル依存症は「他の依存症にくらべて高学歴の人が多く、大学卒以上が42%」になると話しています。
本当はエリートだろうと注意が必要なのに、本人は自分が依存症になっていることを自覚しにくく、周囲もそれを警戒しにくいというところに“罠”があります。」
「「エリート街道を歩んできている人」
「まじめで手堅いように見える人」
「経理などの堅い仕事でありながらお金を動かしやすい役職に就いている人」
「管理職や役員といった地位に就いている人」
こうした人たちほど注意が必要になります。それもまたこの事件から得られる教訓のひとつです。
ギャンブラーというと、信用のない、だらしない人間というイメージを持っている人も多いとは思いますが、そんな人間は役員などの地位にはなかなか就けません。地位があってこそ、大きなお金を動かせるのですから、常識では計り知れない病気がギャンブル依存症なのです。」
優秀な人や実績をあげてきた人であっても、ギャンブル依存に陥るリスクが低くないとすれば、内部統制でそれをカバーして、不正に手を染める機会を減らすしかないのでしょう。
そういえば、大手監査法人の元代表社員が、引退後、マンション管理組合から何億円も横領していたという事件もありました。それもたしか投資が動機だったと思います。
当時の報道。
エリート人生から転落 伊藤忠元社員が7億円横領 FXで全額溶かし…(2014年)(夕刊フジ)
「横領の舞台となったニュージーランドの関連会社は、伊藤忠など数社が出資し、木材チップを製造、販売。××容疑者は2010年8月に出向、預金管理など経理業務を1人で担当していた。
そして、別の関連会社との取引を装い、請求書を偽造するなどの手口で、関連会社の銀行口座から自身の銀行口座に送金。会社の口座の残高証明書を改竄(かいざん)するなどして、隠蔽を続けていた。
××容疑者は出向前からFX取引を行っており、横領した金はFXに投資していた。同課は損失を穴埋めするために着服を繰り返すようになったとみている。」