ISSBが自然及び人的資本に関連するリスク及び機会に関するリサーチ・プロジェクトを開始
国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)が、新しい分野をリサーチするプロジェクトを開始したというプレスリリース(2024年4月23日)(上記リンク先は日本のサステナビリティ基準委員会による日本語訳)。
(原文はこちら→ISSB to commence research projects about risks and opportunities related to nature and human capital)
「国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)は、将来の優先事項に関するISSBの最近の協議に情報がもたらされたことにより、次に関連するリスク及び機会に関する開示をリサーチするためのプロジェクトを開始する。
- 生物多様性、生態系及び生態系サービス
- 人的資本」
現行基準でも、重要性のある情報であれば開示が求められていますが、他のフレームワークを参照することが認められているそうです。それを、ISSBが自ら基準設定するかどうかということのようです。
「すべてのサステナビリティ関連のリスク及び機会に関する重要性がある(material)情報の開示は、既にIFRS S1号のもとで要求されており、気候以外の適切な開示を提供するために、「SASBスタンダード」を含む、ガイダンスの情報源を参照することを企業に求めている。これらのプロジェクトは、サステナビリティ関連財務開示のグローバル・ベースラインを構築するために、より具体的な開示を確立することが必要とされる主要な領域において、ISSBが自らの基準設定作業に着手できるようする。
リサーチ・プロジェクトを通じて、ISSBは、これらの領域における現在の開示の限界を評価及び定義し、潜在的な解決策を識別し、基準設定が求められるかどうかを決定する。」
当面着手しない分野についてもふれています。
「市場からのフィードバックにより情報がもたらされ、ISSBは、企業自身の労働力(workforce)及びバリュー・チェーン上の労働者に関連するリスク及び機会以外で、人権に関連するリスク及び機会に関するプロジェクト又は報告における統合(integration in reporting)のプロジェクトに、現段階では着手しないことを決定した。しかし、ISSBは、これらの重要な(important)領域における開発を注意深くモニタリングし、将来のアジェンダ協議に含めることを考慮する場合があることについて合意した。」
人権をとりあげるとなったら、中国、ロシア、その他世界中の強権主義国家による人権侵害だけでなく、イスラエルがパレスチナ人に対してやっていることに関連する企業活動についても、開示対象かどうか議論になりそうです。基準設定のためのリソースの問題もあるのでしょうが、そういう議論を避けたいのでは。