銀行が東芝を「要注意先」に格下げしたという日経記事(1月28日朝刊)の背景などを解説した記事。
「(日経に)掲載されたのは、「『要注意先』に下げ みずほ銀」という、2段見出しの記事だ。東芝の主取引銀行の一つであるみずほ銀行が、東芝の債務者区分を「正常先」から1段階引き下げ、「要注意先」にした、という内容だった。「要注意先」という言葉はなじみが薄い。だが、銀行や融資先企業にとっては大きな意味を持つ。」
「みずほ銀行は東芝の主取引銀行3行のうちの一つだ。それが、東芝を「要注意先」に引き下げたことはとても重い意味を持つ。「債務者区分」は、単に、融資先をランク付けするだけではない。銀行が決算で計上する「貸し倒れ引当金」と密接につながっているのだ。「貸し倒れ引当金」とは何か。融資が焦げ付くと困るから、融資額の一部を、あらかじめ損失と認定しておくというものだ。
こうした微妙な問題があるので、銀行が融資先企業の債務者区分を公表することはない。企業の債務者区分がメディアで報じられることも、めったにない。影響が相当大きいからだ。今回の東芝の記事は、極めて稀なケースだ。」
記事では、なぜ債務者区分がリークされたのかについてはふれていませんが、債務超過にならないように、売れるものは全部売りなさいという銀行からのメッセージだったのでしょうか。債務超過になれば、さらに下の「破綻懸念先」への格下げを検討する必要が出てきます。
銀行の実務はよく知りませんが、年度末(3月末)の債務者区分や引当金を決めるためには、融資先の直近の決算(3月期本決算は銀行の決算に間に合わないのでは)を見るのでしょうから、東芝の場合は、14日に公表される予定の第3四半期の数字が基準となって、それにその後の変動を調整するのでしょう。結局、第3四半期の数字に相当程度かかっているということになりそうです。
問題の日経記事。
↓
みずほ銀、東芝を「要注意先」に下げ(日経)(記事冒頭のみ)
最近の「企業会計」カテゴリーもっと見る
監査人交代事例4件(スマートドライブ(あずさ→トーマツ)、ブリッジコンサルティンググループ、揚羽、アルファクス・フード・システム)(2024年11月22日)
企業内容等の開示に関する内閣府令及び有価証券の取引等の規制に関する内閣府令の改正に伴う上場制度の見直しについて(東京証券取引所)
「資本コストや株価を意識した経営」に関する「投資者の目線とギャップのある事例」等の公表について(東京証券取引所)
野村HD、顧客への犯罪リスクを半期報告書に追加-不祥事受け(ブルームバーグより)
株主総会基準日は有報の後に─株式市場の健全性向上に─(後編)(会計・監査ジャーナルより)
2025年3月期第2四半期決算短信の開示時刻動向について(東京証券取引所)
最近の記事
カテゴリー
バックナンバー
2000年
人気記事