東芝が第3四半期決算発表と四半期報告書提出を再度延期したことについては、すでに当サイトでも取り上げましたが、その関係の会社資料はこちらのページに掲載されています。3月14日の記者会見の動画もあります。
記者会見の模様などを伝える記事。
【東芝決算発表再延期会見・詳報(上)】綱川社長「2千億、3千億円規模の事業で着実にやっていく」(産経)
【東芝決算発表再延期会見・詳報(下)】「一旦振り出しに戻ってしまった。再度チャレンジする」(産経)
「--監査法人が問題にしているところは何か
「内部統制の不備の調査で通常の監査とは違う。不適切な圧力があったかどうかで、あった場合にどう影響したかという形で調査している。現時点では具体的な修正事項は出ていないということになる」」
「--プロの立場から見てこういう会社は上場会社に値するのか
(佐藤良二委員長)「プレッシャーを掛けた人が他になかったか調べているので、さらなる検証をお願いした。多少の数字が違うとかという範囲を超えている」」
「--延期の理由で、前回指摘されたものとは別問題か
(佐藤氏)「新しい事象が出てくると対応する形をとっている。10万通のメールを見ている。どういうものが出てくるか想定できない。調査範囲や調査事象が広がってしまった」
--監査法人で、日米どちらの監査法人が許可を下ろしていないのか。上場廃止についてのリスクについては
(佐藤氏)「監査法人内のことは回答できる立場ではない」
(綱川氏)「2部に降格といったが、信用を確保しつつ、しっかり上場廃止にならないように続ける努力をしたい」」
「--平成28年3月期の決算が実は債務超過だったということがありうるのか
(佐藤氏)「イエス、ノーで答えるものではない。ない可能性の方が高いと言っておきましょう」」
2016年3月期(前期)の決算が債務超過だったかどうかをきかれて、明確に否定していないところが、ちょっとあやしい?
東芝社長、2部降格覚悟も信頼回復は至難 米原発会社でのパワハラも発覚、広がる不信感(産経)
「決算の遅れは当初、日米監査法人の調整難航が理由とみられていた。だが、蓋を開けてみれば根の深さが浮き彫りになった。パワハラがあったばかりか、調査した28年10~12月期より前の期でも同様の行為が行われた疑惑も生じた。
日常的にパワハラが横行していたとすれば、「チャレンジ」と称して過剰な業績改善を各事業部門に要求した不正会計問題に重なる。過去の決算も洗い出さなければならない深刻な事態だ。期限を4月11日まで約4週間延ばしただけで、決算発表できるのかという疑問は残る。」
会社は、調査によって「具体的な修正事項は出ていない」といっているわけですが、それにもかかわらず、調査を続行しなければならないというのは、かなりわかりにくい話です。当サイトの見方は、内部統制を確かめることができなければ、監査人(特にWHの監査人)が監査意見を出せないから(経営者が絡んでいるところの内部統制が統制リスク高であれば実証手続だけでは監査意見は出せない)、というものですが、当たっているかどうかは不明です。会計士でもある東芝の監査委員長がもう少し丁寧に説明してくれればよいのですが。
東芝社長「WHの非連結化、しっかり対応」(日経)
東芝 米原子力事業子会社 連結から外す方針明らかに(NHK)
連結から外すといっても、ペーパーカンパニーに株を売却したことにするというようなインチキは無意味です。仮に株を買ってくれる先が現れても、莫大な持参金をつけることになるでしょう。
「新生東芝」と繰り返す綱川社長に見えていない問題の本質(文春オンライン)
「もはや問題は東芝という会社の枠を超えているのだ。米国の原子力子会社であるウエスチングハウス(以下、WH)がチャプターイレブン(米連邦破産法第11条)の適用を申請して事実上倒産した場合、巨額の負債を日米でどう負担するかという問題になる。...
WHが倒産すれば、同社が米国で建設中の4基の原発の先行きも怪しくなる。すでに3割以上の工事が進んでいるが、完成させるなら、さらなるコストオーバーラン(工事の遅れなどでコストが見積もりを超えること)を覚悟しなくてはならない。建設を止めるならこれまでのコストを誰が負担するのかという問題になる。
いずれにせよ新たに発生する資金負担は数兆円単位になり、民間企業に負える規模ではない。議論は国のエネルギー政策にも及び、日米両政府の壮絶な「押し付け合い」が始まっている。東芝の生死などもはや小さな問題と言える。」
以下、記者会見前の記事ですが...
東芝 過去の会計処理で新たに精査必要案件(日本テレビ)
「東芝の関係者たちは先週から、「決算が間に合わなかったら、上場廃止のリスクがある」「アメリカの監査法人は期限までに間に合わせようという気がないのか。理解できない」と不安を隠しきれない様子だった。
日本テレビの取材によると、当初、調査していたアメリカ子会社・ウェスチングハウスで会計処理が圧力で変更された疑いは晴れたものの、その後、過去まで遡って精査が必要な案件が出てきて時間がかかっているという。」
東芝 巨額損失の原因 米原子力事業の契約詳細が明らかに(NHK)
「関係者によりますと、ジョージア州の原発では、従来から「固定価格契約」となっていて、ウェスチングハウス側が5億ドルを超えた分の追加コストを負担することになっていました。
一方、サウスカロライナ州の原発では、当初は追加コストを電力会社側が負担する内容だったものの、2015年に「固定価格契約」に変更し、ウェスチングハウス側が負担することになったということです。
また、関係者によりますと、ウェスチングハウスは2015年当時、将来のコストの拡大の懸念を認識していたものの、2016年から新たな下請け業者を採用して、工事の効率化で乗り切れると判断したこともわかりました。
しかし、東芝は先月の会見で、コストの改善は不十分だったと認め、追加のコストが60億ドルに上ることを明らかにし、甘い見通しのもとでコストが膨らんでいった実態が浮き彫りになっています。」
「2015年当時、将来のコストの拡大の懸念を認識していた」とすれば、2016年3月期の決算に反映されていたはずですが...。
東芝に“中国原発リスク”か、3年以上経過も稼働できず(TBS)
最近の「企業会計」カテゴリーもっと見る
最近の記事
カテゴリー
バックナンバー
2000年
人気記事