スルガ銀行の今年6月の株主総会における大手金融機関の議決権行使の状況が開示されたという記事。金融機関によってばらつきがあったそうです。
「みずほ信託銀行は、岡野氏や米山氏ら9人の取締役選任に反対した。同社のガイドラインは「不祥事に責任があると認められる取締役の再任または選任に対し、原則として反対する」としている。第一生命保険も「実質的トップである会長の経営責任は重いと判断した」(広報)として、岡野氏の選任に反対した。
一方、三菱UFJ信託や三井住友信託、明治安田生命は全員の選任に賛成した。三菱UFJ信託は「総会時点では詳細な情報がなかった」(広報)という。住友生命は「開示されている情報が不十分」として一部棄権した。」
議決権行使の開示が進めば、大きな不祥事を起こした企業の役員選任に対する反対が増えるのでしょう。
その他スルガ銀行関連記事。
<スルガ銀>第三者委が調査し残した行員の金銭授受疑惑(Yahoo)(毎日新聞配信)
行員が交通費名目で業者からカネを受け取っていたり、もっと露骨に、キックバックを受けていた例もあるようです。
「交通費名目以外でも、不動産業者から行員に対して金銭の「キックバック」が行われた疑惑がある。
不動産の売買契約にこぎつけた際に、業者は勤務する不動産会社から出来高報酬を受け取るケースがある。その報酬の一部を行員に配分することを働きかけるやり取りがデジタル調査で見つかった。また、「キックバックの話が出るとまずい」といった行員同士のやり取りもあったという。
行員に対するアンケートやヒアリングで「何らかの金銭を受けたことがあるか」と質問したところ、金銭授受を認めた行員は1人もいなかった。ところが、「金銭を受領している疑いがある」と他の行員から名指しされた行員(退職者を含む)は14人にのぼった。」
スルガ銀行の事件は、業者と銀行がぐるになって顧客(債務者)を食い物にしたという側面と、業者と銀行従業員が共謀して顧客と銀行を騙していたという側面と、顧客に対して厳しい見方をすれば、業者と顧客が共謀して銀行から不正な融資を引き出したという側面があるのでしょう。こういうややこしいことにならないように、内部統制やガバナンスをきちんとしておくべきだったのでしょう。
おなじみの郷原弁護士は、銀行に生じた損失ではなく、顧客の被った損害の方に注目しているようです。
スルガ銀行不正“ブリンカー社員化”の構図 ~問題の本質は「顧客本位の営業」の視点欠落(郷原信郎が斬る)
「サブリース業者スマートデイズが運営する「かぼちゃの馬車」などのシェアハウスに投資していた顧客の損害は甚大だ。1億円を超える負債を抱えている人も多数いるとされており、シェアハウスの賃料収入が入ってこないことになると、全て自分の稼ぎで返済せざるを得なくなる。
このように考えると、今回のスルガ銀行の不正・不適切融資による実質的な被害は、現状では、圧倒的に顧客の側に生じることになる。もっとも、もし、今回の不正・不適切融資に対する社会的批判が高まり、改ざん、偽装などを伴う融資について債権放棄等に応じざるを得なくなった場合は、債務者側の損失が軽減される一方、スルガ銀行の損失が一気に膨らむことになる。
そういう意味では、スルガ銀行のシェアハウス関連融資をめぐる不正・不適切行為については、誰にどのような損失を生じさせたのか、という点が、現時点では、まだ明確になっていないのである。
それを意識しているからか、第三者委員会報告書では、不正・不適切行為が、顧客の投資判断にどのような影響を与えたのか、顧客にどれだけの損害を与えたのか、という点に関する記述はほとんどない。
不正・不適切行為が「顧客の損失」につながったことについて言及すればするほど、顧客側からの債権放棄や損害賠償の要求が高まり、第三者委員会報告書によって銀行の損失が拡大することになる。そのような事情を考慮し、スルガ銀行から委託された第三者委員会としては、不正・不適切行為が「銀行に与えた損失」を記述することにとどめ、銀行だけの問題として自己完結せざるを得なかったのではなかろうか。」
シェアハウス投資問題と似ているそうですが...
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「本田圭佑」の大口タニマチが経営危機 カンボジアチームのスポンサーにも(デイリー新潮)
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