独立行政法人「都市再生機構」(UR)の「特別借受賃貸住宅」83団地のうち82団地(99%)が赤字で、約30億円の損失が出ていたという記事。
「・・・昨年度は家賃収入が約63億円あったが、オーナーに支払う借受料は約93億円で、約30億円の赤字だったことが判明した。黒字はわずか1団地だった。
URの前身である住宅・都市整備公団などがオーナーと契約を結んだ際、満室を前提に借受料を決めたが、実際は空室が発生して家賃収入が思うように得られず、赤字になったとみられる。昨年度の空室率は平均で約19%で、半数以上が空室の団地もあった。
契約の更新時に借受料を減額することも可能だが、約15年前に一部オーナーと話し合った際に交渉が決裂したことがあり、その後は本格的な交渉は行われていないという。
URは2007年、政府が独立行政法人の合理化を決めたことから、オーナーとの契約を更新せず、事業を廃止することを決定したが、すべての契約期間が終わるのは20年度になる。
近年は家賃相場の下落などもあり、赤字が常態化。検査院はこうした状態が続いたとして試算したところ、20年度までの累積赤字が約100億円に達する恐れがあるとの結果が出た。」
URが建物のオーナーから借りて転貸するという契約で、期間満了までは解約できないのでしょう。
手元のIFRSの解説書によると、IFRSの引当金の基準では、「不利な契約(onerous contract)」については引当て処理しなければならないようです。このケースも、IFRSが適用されるとしたら、現在生きている契約に基づく将来の損失を見積って引当て計上することになるのでしょう。
民間企業でも、長期の一括借り上げや賃料保証をエサに地主に賃貸用建物を建てさせるという商売をやっていますが、会計処理はどうなっているのでしょうか。もっとも、民間企業ですから、URのような甘い対応ではなく、損が出ないように(つまり地主がリスクを負うように)やっているのかもしれません。
やや古い記事ですが・・・
地主がレオパレスを提訴 トラブル多発のアパート経営制度(東洋経済)
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