雇用調整助成金の相談孫口に零細事業者が殺到しているという記事。
「新型コロナウイルスの蔓延に伴う営業自粛などで経済がまさに「凍りついて」いる中、政府は雇用調整助成金制度の拡充で、失業の発生を食い止める姿勢を打ち出している。
労働局やハローワークの窓口には、売り上げが文字通り「消滅」した零細飲食店や小売店の事業者たちが、藁にもすがる思いで相談に殺到している。政府は申請手続きを簡素化したと言うが、これまで労働局に足を運んだこともなく、役所の申請用紙とは無縁だった高齢の事業者にとって、ハードルは高い。」
事業者にとっては、助成金を受け取るまでに時間がかかるようです。
「雇用調整助成金は、まず「休業計画」を提出し、その休業中に給与を支給した上で、申請書を提出。その給与分に助成を出す仕組み。
労働者を雇い続け、1人も解雇しなかった場合、支払った給与の90%、大企業は75%が助成される。
つまり、まずは先に事業者が給与を支払うのが前提なのだ。しかも1割は事業者の持ち出しになる。怨嗟の声を受けて厚労省は給付比率を中小企業の場合100%に引き上げることを決めたが、いずれにせよ前払いする給与の資金を事業者が負担しなければならない。もちろん、支払う段階では、助成金が下りるかどうか分からないのだ。
さらに、申請して助成金が出るまでに1カ月はかかる。4月分の申請を5月上旬にしても、支給されるのは早くて6月上旬というわけだ。」
リーマンショックのときは、この制度はうまくいったが、新型コロナでは、零細企業から影響が出始めているので、難しい面があるようです。
「リーマンショック時は金融市場発の激震だったため、影響は川上の大企業から出始めた。給与の前払いも、雇用調整助成金の申請も難なくこなせる企業が中心だったとみていい。
今回は、いきなり川下の零細企業や個人経営の外食、小売店、サービス業から打撃を受けている。社会保険労務士を使ったことがない事業者がほとんど、しかも雇用保険や労働保険にもきちんと入っていない事業者が少なからずいる。」
気の毒ですが、日頃から法令遵守できちんとやっている事業者が優先されるのはしかたがないことでしょう。、
雇調金 中小の申請後押し 社労士の連帯責任解除(日経)(記事冒頭のみ)
「厚生労働省は企業が支払う休業手当に国が資金支援する雇用調整助成金を巡り、企業の申請書類に偽りなどがあった場合に社会保険労務士にも連帯責任が課される規定を特例的に解除する方向で検討に入った。休業に追い込まれた外食・サービスなど小規模企業の多くは法定書類を作っておらず、罰則を恐れる社労士が二の足を踏み、申請の壁になっているためだ。」
「4月24日時点で申請件数は2541件、支給件数は282件にとどまっている。
社労士に申請を代行してもらう例が多い小規模企業は、法律で定める給与台帳などの書類を作っていないことが多い。」
支援の方法としては、企業に雇用を維持させて助成金を支払うか、雇用維持はあきらめて、雇用保険から労働者に直接支給するかという選択肢しかないわけですが、中小零細企業の場合は、求職者給付などにより労働者を直接救わざるを得ないことが多くなるのかもしれません。それも、雇用保険に入っていないと、受けられないわけですが...。
雇用調整助成金の制度について。
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雇用調整助成金(厚生労働省)
米国でも、雇用を維持させるための融資などはあるようですが、失業保険が重要な救済手段となっているようです。
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米新規失業保険申請件数:384万件、6週間で合計3000万件余り(ブルームバーグ)
「米国の先週の新規失業保険申請件数は384万件となり、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)の影響を受けたこの6週間の合計は3000万件を上回った。」
「失業保険の申請件数はパンデミック前には見られなかった高水準にとどまっているが、ペースは4週連続で鈍化。労働市場の最悪期は既に過ぎている可能性を示唆した。
申請者を全て失業者と見なした場合、失業率は22%前後と、1930年代の大恐慌以来の高水準となる。」
米国で4月第3週の新規失業保険申請件数が384万件、4週連続減も高水準続く(ジェトロ)
当サイトの関連記事(米国でCOBOLで構築された失業保険金給付システムがパンクする例が出ているという記事について)
ちなみに、数年前から、開業登録などしている公認会計士、税理士なども失業給付を受けられるようになっています。
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当サイトの関連記事(2013年)
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