会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

夏に倒産急増か、少ない地銀の与信費用 「嵐」再来に構える当局(朝日より)

夏に倒産急増か、少ない地銀の与信費用 「嵐」再来に構える当局(ロイター配信)

政府や日銀が企業の資金繰り支援の体制を整えつつあるが、企業の倒産が夏場に急増する可能性が指摘されているという記事。それに対する金融機関の引き当ても少ないとのことです。

「帝国データバンク東京支社の赤間裕弥情報部長は「新型コロナの感染拡大で厳しい事業環境が続き、政府の対策にも関わらず倒産件数は増加が続くとみられる」と予想している。

同社によると、4月の倒産件数は前年同月比16.4%増の758件。新型コロナ関連の倒産は3月末から増加ペースが速くなっている

しかし、倒産件数をめぐっては、東京地方裁判所の対応の変化により、増加のタイミングが後ずれするとみられている。

ロイターが入手した資料によると、政府が緊急事態宣言を出した4月7日の翌8日、東京地裁で破産を担当する民事20部が東京の3弁護士会に宛てて「不急の申し立て」を控えるよう書面で要請。しかし、弁護士らの反発で10日に方針転換し、「緊急性のある事件以外は処理を停止するが、申し立て自体を控える必要はない」と要請し直した。現在、東京地裁は緊急性の高い案件から処理している。

帝国データバンクの赤間氏は「弁護士の在宅勤務や裁判所から不急の申し立てを見送るよう要請が出ていることで、5月以降はいったん倒産件数が減る可能性がある」と指摘する。ただ、「遅れ気味の破産手続きが進むことで8―9月に急増する可能性がある」という。「2020年は倒産件数が1万件を突破する可能性がある」とみている。」

「一部アナリストの試算によると、地方銀行の与信費用の見込みは貸出総額の0.2%程度。「コロナで融資先が厳しい状況に置かれている割に、意外と少ない印象だ」(同)という。

ある当局者は「収益環境が厳しい中で、思うように与信コストを盛り込めていない先もあるのではないか」と推察する。コロナの影響の長期化で、予想以上の与信費用が掛かれば一部の地銀の財務基盤に影響が出る可能性も出ている。」

金融機関の貸倒引当金は、最重要項目として、会計監査人が厳格にチェックしているはずですが...。

銀行によっては多額の引き当てをしているようです。

貸倒引当金515億円を追加 ふくおかFG、地域下支え(4月28日)(日経)

「ふくおかフィナンシャルグループ(FG)は28日、新型コロナウイルス感染拡大による景気悪化を見越し、2020年3月期連結決算に倒産に備える貸倒引当金など515億円程度を追加計上すると発表した。経営体力に余裕がある時期に引当金を積むことで、不況時にも融資態勢を維持して地域経済を下支えする。」

余裕があれば引当てる、なければ引当てしないというのが認められるのでは、まともな会計基準とはいえません。一応、見積り方法の変更という理屈のようですが...。

「貸倒引当金は見積もり手法を変更した。倒産実績など過去のデータだけでなく、景気予測に基づく将来のリスクも反映。「リーマン・ショック級の金融リスクが顕在化する可能性」も踏まえ、引当金を418億円積み増した。さらにコロナの影響が懸念される飲食や宿泊、航空などの業種に87億円を引き当てた。」

中小、休廃業・解散5万件
高齢経営者にコロナ追い打ち 遅い支援、借金二の足
(日経)(記事冒頭のみ)

「新型コロナウイルスの感染拡大を受け、中小企業の経営が急速に悪化している。2020年の休廃業や解散は、推計で5万件にのぼりそうだ。」

新型コロナウイルス関連倒産(帝国データバンク)

帝国データバンクの本。


(電子書籍版がセール中のようです。)
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