金融庁の証券取引等監視委員会は、東陽監査法人に所属する公認会計士による内部者取引について検査した結果、法令違反の事実が認められたとして、2010年11月16日付で、課徴金納付命令発出の勧告を行いました。
この会計士が、「株式会社幸進(以下「幸進」という。)の設立業務に従事していた者が職務に関し知り、その後、同者から、東陽監査法人に所属する課徴金納付命令対象者とは別の公認会計士が職務上伝達を受けた、幸進が株式会社リオチェーンホールディングス(以下「リオチェーンHD」という。)の株式の公開買付けを行うことを決定した事実を、その職務に関し知りながら、この事実が公表された平成21年7月28日より前の同月6日から同月9日までの間に、自己の計算において、リオチェーンHDの株式合計1万2100株を買付価額458万9700円で買い付けた」とされています。
また聞きのさらにまた聞き(幸進の設立業務に従事していた者→職務上伝達を受けた別の会計士→この会計士)で得た情報を使ったということになりますが、それでもインサイダー取引になるということのようです。
課徴金の金額は、118万円です。
日本公認会計士協会もこの件で会長声明を出しています。
会長声明「公認会計士による内部者取引に係る証券取引等監視委員会の勧告について」を公表
職員に対するインサイダー取引に関する課徴金勧告について(東陽監査法人)
“借名セット”で公認会計士がインサイダー取引 118万円課徴金納付命令勧告(産経)
産経の記事によれば、この会計士は40代の男性で、「知人に借名口座と取引用の携帯電話を用意するよう依頼」したとのことです。危ない取引だということは認識していたのでしょう。不正に得た利益は78万円だそうです。
会計士によるインサイダー取引といえば、新日本監査法人の職員によるものが有名です。
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