帳簿つけたら「事業所得」 所得税、副業促進に配慮(記事冒頭のみ)
雑所得と事業所得の区分に関係する所得税基本通達の一部改正案が8月1日に公表されましたが、反対意見が多いため、見直すことになったという記事。
「国税庁は、8月に公表した副業などに関係する所得税の基本通達の改正案を修正する。新たな通達では、帳簿書類がある場合は所得区分を「事業所得」に、ない場合は「雑所得」とする。従来案は原則、年間300万円以下の副業などの収入を雑所得とする内容だった。雑所得は他の所得と損益通算できないなど納税者に不利な点もあるため一部から反発が出ていた。」
「原則的に「本業」「副業」などは区別せず、帳簿書類などを適正につけている場合は、収入金額に関係なく事業所得として扱うことにした。帳簿書類がない場合は、収入金額が300万円以下なら雑所得とし、300万円超の場合でも極端に規模が大きいなどの例外を除き、原則的に雑所得にする。」
それでは、帳簿をつけているかどうかだけで判断するのかというと、そうではなく、「本業の収入の1割未満の場合」や赤字続きの場合などは、「状況により個別に判断する」のだそうです。
ちなみに、8月に公表された案では以下のようになっていました。
(「「所得税基本通達の制定について」(法令解釈通達)の一部改正(案)(雑所得の例示等)に対する意見公募手続の実施について」より)
「2 改正案の概要
上記の課題に対応するため、所得税基本通達を次のとおり改正し、雑所得の範囲の明確化をします。
⑴ その他雑所得の範囲の明確化
その他雑所得(公的年金等に係る雑所得及び業務に係る雑所得以外の雑所得をいいます。)の範囲に、譲渡所得の基因とならない資産の譲渡から生ずる所得(営利を目的として継続的に行う当該資産の譲渡から生ずる所得及び山林の譲渡による所得を除きます。)が含まれることを明確化します。
⑵ 業務に係る雑所得の範囲の明確化
業務に係る雑所得の範囲に、営利を目的として継続的に行う資産の譲渡から生ずる所得が含まれることを明確化します。
また、事業所得と業務に係る雑所得の判定について、その所得を得るための活動が、社会通念上事業と称するに至る程度で行っているかどうかで判定すること、その所得がその者の主たる所得でなく、かつ、その所得に係る収入金額が 300 万円を超えない場合には、特に反証がない限り、業務に係る雑所得と取り扱うこととします。」(同上)
(補足)
10月7日に基本通達一部改正が公表されました。改正に関する解説もあわせて公表されています。日経記事は間違っているわけではありませんが、「帳簿つけたら「事業所得」」という見出しはミスリーディングです。
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