企業会計基準委員会が「繰延税金資産の回収可能性」に関する適用指針の公開草案を4月に公表するらしいという記事。現行の会計士協会の指針の大枠は変わらないようです。
「草案は、日本公認会計士協会の監査委員会報告第66号における企業の分類(5分類)に応じた取扱いの枠組みを踏襲した上で、当該定めの一部を修正する内容。例えば、(分類3)および(分類4)において、繰延税金資産の計上額を決定する際、過去の課税所得の推移や将来の業績予測等を考慮する定めを設ける。」
66号では「過去の業績等の状況を主たる判断基準として・・・指針を示す」とされているので、「過去の課税所得の推移」は今でも反映されているのでは。
会計処理だけでなく、注記についても議論されています。
「・・・2月17日開催の第15回税効果会計専門委員会では、開示の拡充を巡り審議。現行、繰延税金資産の回収可能性に関連する開示項目には、発生原因別の主な内訳と繰延税金資産から控除した評価性引当額、がある。これらに、1)回収可能性の判断で用いられる、企業の「5分類」そのものを開示させる、2)会社の分類ごとにそれぞれ異なる情報開示を求める、案が示され、その有用性が議論された。」
「2)は、例えば(分類3)に該当する会社が5年を超える期間の課税所得に基づいて繰延税金資産を計上する場合、「回収可能性があると判断した根拠や計上額」を開示させる措置。」
5分類を開示するといっても、連結グループの親会社・子会社それぞれについて開示するのでしょうか。海外基準を採用してそのまま連結している海外子会社についてはどうするのでしょうか。財務諸表利用者に分類の意味がわかるのでしょうか。税効果会計の注記という範囲を超えて、会社自体の格付けと取られないのでしょうか。いろいろと疑問が浮かびます。
2)についても、負担感が大きいという反対意見があったそうです。
こういう見積項目の舞台裏をどこまで開示するのかというのは、難しい問題のように思われます。情報としての意味以外に、変な操作がやりにくくなるという効果がありそうですが、作成者や監査人からすると、手の内を明かしたくないという気持ちもあるでしょう。
繰延税金資産の回収可能性の判断に関する監査上の取扱い(1999年11月)
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