会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

「鉄鋼の救世主」が転落するまで(日経より)

「鉄鋼の救世主」が転落するまで(記事冒頭のみ)

3月に破綻した英金融会社グリーンシル・キャピタルの大口融資先の経営者を取り上げた記事。

「英ケンブリッジ大学で学んだグプタ氏は、鉄鋼や資源などを手掛ける複合企業GFGアライアンスを築いた。世界で3万人以上を雇用、年商は200億ドル(約2兆1700億円)に上るという。グプタ氏はアラブ首長国連邦(UAE)のドバイを拠点に、低コストの中国企業以外は軒並みうまくいっていないともされる鉄鋼業の立て直しに成功したとみられていた。」

英国の捜査当局が不正を調べているそうです。

「英重大不正捜査局(SFO)は14日、3月に経営破綻した同国の金融会社グリーンシル・キャピタルの大口融資先だった、GFGを捜査していると発表した。GFGの金融取引などを巡る詐欺や不正取引、マネーロンダリング(資金洗浄)の疑いを調べるという。」

「鉄鋼の救世主」と呼ばれながら、実体が伴っていなかったようです。

「グプタ氏の浮き沈みは、グローバル資本主義時代の訓話といえる。昔ながらの産業工学に基づく鉄鋼生産が、グリーンシルを通じて金融工学に出合った結果というだけではない。グプタ氏は経営が苦しく二酸化炭素(CO2)の排出量が多い鉄鋼業を、より環境に優しくエネルギー効率の高い事業に転換し、21世紀にふさわしいものにするとも約束していた。

グプタ氏は環境にやさしい鉄鋼業を標ぼうした一方、GFGに関係する金融取引などについては説明が不十分にみえた。他にもグプタ氏が口をつぐんできた点があった。反骨精神によって地位を得たというイメージを抱かせたかったのかもしれないが、実際は祖父がインドで製鉄所を運営、父は自転車製造業を展開していた。

グプタ氏は英国内外で豪邸を構えるなど、一段と派手な生活を送るようになったという。土地や建物の購入資金をどうやって調達したかは明らかになっていない。ただグプタ氏の事業はグリーンシルと(金融取引上の)密接な関係を築いていた。」

「今回の不祥事から学べる教訓はまず、グプタ氏の描いた鉄鋼業のビジョンが大風呂敷にすぎなかったことだ。実際には、(操業停止などによる)雇用の喪失を避けたい英豪などの公的資金に依存していた。さらに、グプタ氏の経営する企業は、支払い義務を期日通りに果たしてこなかったという。」

記事の中でもいっていますが、金融会社と事業会社の関係が近すぎるというのは、あやしいと考えるべきなのでしょう。
名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最近の「企業会計」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事