会社法に関する法務省令案のごく簡単な解説記事。
株式会社の計算に関する法務省令では、分配可能額(従来の配当可能額)を定めていますが、新たに、のれん(及び繰延資産)の合計額が資本金及び準備金の額を超過する部分の2分の1相当額を控除項目とすることが規定されています。同じ企業結合でも、株式交換による子会社化の場合は、のれん(連結調整勘定)についてこうした制限はないわけですから、合併のときだけこうした厳しい制限を課すのは、不整合ではないでしょうか。
なお、以前の記事で、子会社や関連会社への投資については、持分法を適用した場合の投資損失を分配可能額から控除すると書きましたが、正確には、投資損失の合計額から投資利益の合計額を差し引いた金額が控除され、投資利益の出ている会社があれば、その分、控除額は減額されます。
ただ、この規定でよくわからないのは、子会社の為替換算調整勘定やその他有価証券の評価差額を投資損失(または利益)に含めるのかどうかという点です。純資産に影響する項目なので、含めるのだと思いますが、連結損益計算書上、損失や利益には計上されていない金額ですから、投資損失・利益には含まれないという解釈もありそうです。
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会社法 神田秀樹著
一問一答 新・会社法