会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

仮想通貨の会計・監査の実務指針は2020年半ばまでに2回の改正を予定(仮想通貨Watchより)

仮想通貨の会計・監査の実務指針は2020年半ばまでに2回の改正を予定

仮想通貨の関連団体が主催した「日本における仮想通貨・暗号資産の会計及びブロックチェーンの監査」という講演の模様を伝える記事。あらた監査法人のパートナーが講師だったようです。

現行の仮想通貨分野の会計・監査に関連する実務指針は、会計士協会の実務指針が2本(仮想通貨交換業者の分別管理に係る合意された手続業務に関するものと財務諸表監査に関するもの)と、会計に関しては、ASBJの当面の取扱いがあるそうですが...

「いずれも、2017年4月に仮想通貨について定めた資金決済法が施行されるのに対応して、公表された実務指針である。仮想通貨交換業者は、顧客から預かった資産を分別管理し、監査を受けなければならないと法令で定められた。これを受けて、会計処理と監査のための実務指針が急ぎ整備された。」

監査の指針について。

「鈴木氏は、「一般的に考慮すべき監査観点」として、鍵管理や暗号化技術の安全性、コンセンサスプロトコルへの攻撃、スマートコントラクトの不具合や攻撃、ガバナンス設計の不備により資産が失われる可能性などを挙げた。ブロックチェーン上の記録を監査の証拠として使うということは、このようなブロックチェーン上の記録に対するリスクコントロールが必要となると鈴木氏は指摘した。」

会計処理の指針について。

世界に先駆けて仮想通貨に関する会計処理の基準を定めたとはいえ、資金決済法が定める仮想通貨が対象であるため、それに当てはまらない仮想通貨は、個別に判断しなければならないとのことです。

「仮想通貨の会計処理については、「現金、金融資産、棚卸資産、無形固定資産のいずれにも該当しないことから、まったく新たな会計基準が作られた」(鈴木氏)。基本的な考え方として、資金決済法が定める仮想通貨を対象とする。仮想通貨に該当しないトークン(例えば支払いに使えないNFT:ノンファンジブルトークンなど)を資産計上する場合には、どのように既存の会計基準に当てはめるかを個別に判断する必要がある。」

今後の動きとしては、法律改正などに伴い、実務指針も改正されるとのことです。

「これらのルールは今後短いサイクルで改定が相次ぐ予定だ。トリガーとなるのは、(i)現行の資金決済法(2017年4月施行)の事務ガイドラインが2019年9月に改正されたこと。(ii)2020年4月から施行される予定の改正資金決済法(仮想通貨から暗号資産への名称変更などを織り込んでいる)が施行されることである。

これに合わせ、上記1.と2.の監査に関する2つの実務指針については、2019年10月(つまり本講演直後)と、2020年4月以降の2回の改正が予定されている。短い期間に実務指針が頻繁に変わることになる。」

会計処理の指針については、ASBJでは、「今後の計画」をみても、プロジェクトは存在しないようですが、業界団体でガイダンスを出すそうです。また、ICOの会計処理については、まったく不透明な状態です。

「会計処理の実務指針については、日本仮想通貨交換業協会(JVCEA)が経理ガイダンスを制定する予定だが、その時期は未定だ。ICOに関する会計基準については、設定主体も公表時期も未定の段階である。」

仮想通貨関連のスキームはあやしいものばかりですから、会計士協会やASBJは、それらにお墨付きを与えかねない指針作りには手を出したくなかったのでしょうが、法律ができてしまったのでやむを得なかったのでしょう。したがって、ICOなど法律上の扱いがあいまいな取引については、放置するのでは。

5千万円投資した高齢被害者も…ある仮想通貨プロジェクトの非道な手口(現代ビジネス)

仮想通貨は、今や詐欺の巣窟である。株式でいえば目論見書に相当するホワイトペーパーで壮大な夢のある事業を語り、数十倍の投資リターンを匂わせて勧誘。トークン(通貨引換証)を手にして上場を楽しみにしていれば、上場後、即、暴落で利益どころか購入価格の100分の1、1000分の1となって塩漬けのうえ、諦めるしかない。」

「ジュピターコインを発行するジュピタープロジェクト(会社名も同じ)はもっと露骨。ジュピターコインは見せるだけ。「3ヵ月で1.5倍」に惹かれてカネを預けると、渡されるのは関連会社TMTなどの金銭消費貸借契約書とアドバイザリー業務委託契約書。トークンを渡されるわけではない。

ジュピタープロジェクト関連に投資した6都道県の被害者11名は、10月29日、同社オーナーの×××氏や幹部社員、それにアドバイザーらを相手取り、約1億円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴した。」
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