米国上院の小委員会の報告書で、米キャタピラー社が租税回避していたという指摘がなされたという記事。
「建設・鉱山機械メーカー最大手の米キャタピラー が部品事業の利益をスイス子会社に移して24億ドル(約2500億円)の課税を回避していたと上院常設調査小委員会が31日公表した報告書で指摘した。
同小委のカール・レビン委員長(民主、ミシガン州)は、キャタピラーが1999年から「書類の変更」によって子会社の利益に最低4%のスイスの税率を適用していたと説明した。米国の税法では、企業が世界中で得た利益に最高35%の連邦法人税が課される。
レビン委員長は31日に記者団に対し、「キャタピラーが魔法のつえを振り、米国に納めるべき数十億ドルの税金が消えてなくなった」と述べた。」
魔法には大手会計事務所も関わっていて、追及を受けたようです。
PwC、キャタピラーの税金めぐる上院聴聞会で窮地に(WSJ)
「2008年に交わされた電子メールの中で、PwCの税理士、トーマス・クイン氏は、建設機械大手の複数のプロダクトマネジャーがスイスから米国に異動になった場合、同社は税制優遇策の一部を失う可能性があると警告していた。これらの人員がスイスに在住したことは、同社の交換部品の海外販売による利益の大半を米国でなく当地で計上し、租税債務を減らしたことの理由付けの一部となった。
クイン氏は同僚のマネジングディレクターのスティーブン・ウィリアムズ氏に対し、「われわれは彼ら(キャタピラー幹部)と部品との間にある程度の距離を設けるようなストーリーを考えなくてはならない(中略)優遇策を維持するために」と伝えた。
ウィリアムズ氏は「仕方ない。これが監査の対象になるころにはわれわれは皆引退している」とクイン氏に返答した。」
会社のプロダクトマネジャーがスイスにいないと税務上まずいとPwCのある税理士がメールで指摘し、それに対し上司(?)が、税務調査で調べられることは当分(我々が引退するまでは)ないから心配するなと返信したということのようです(「監査」はこの場合税務調査のことでしょう)。
会社側は反論しています。
「報告書を受けて、キャタピラーは「米税法の文言、趣旨に完全に沿った標準的な多国籍事業構造」を定めたと述べた。また、その世界での実効税率は平均29%で、米企業の平均を3ポイント上回ると述べた。」
極端な節税ではなさそうです。
WSJの別の記事ですが、節税作戦の経緯なども書かれています(1990年代から検討していたそうです)。
Caterpillar Likely to Face Closer IRS Scrutiny(WSJ)
スイスの会社からのロイヤリティーの率が問題になりそうだと、大学教授がコメントしています。
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