サカタインクスの子会社「阪田産業」から約2億4000万円をだまし取ったとして、同社元嘱託社員(64歳)と会社役員(58歳)が詐欺容疑で逮捕されたという記事。
循環取引をやっていたそうです。
「捜査2課によると、2人は2010年から架空の循環取引に関与。××容疑者(会社役員)の経営する省エネ機器販売会社が、阪田産業を経由して同容疑者の知人の会社と取引があるように見せかけるなどしていた。
2人の逮捕容疑は共謀の上、21年8~9月、太陽光発電関連機器などに関する架空の商取引を装い、阪田産業から知人の会社の口座に商品代金の名目で計約2億4500万円を送金させ、だまし取った疑い。」
「架空の取引は10~21年で約10社が関わり、計約1500回、総額100億円以上に上る」とのことで、相当大がかりな不正です。
1500回の取引を全て解きほぐして、結局、循環取引の仲間の中の誰が得したのかを洗い出して、そこから回収していくことが必要となります。また、過年度訂正もやらないといけません。たいへんな作業でしょう。
「循環取引」で2億円余詐取か 大阪の商社の元嘱託社員ら逮捕(NHK)
「高額な売掛金を不審に思った商社が内部調査を行ったところ、架空の取り引きを繰り返す循環取引が行われていたことが発覚したということで、ことし7月に警視庁に刑事告訴していました。
警視庁によりますと、元嘱託社員は商社の営業担当で、平成22年から取引先のおよそ10社を巻き込んで、循環取引を行っていたとみられるということです。
警視庁は、これまでにおよそ1500回、総額100億円以上の架空の取り引きを行っていたとみて詳しい実態を調べています。」
記事を読む限りでは、架空取引をやった動機がよくわかりません。また、循環取引仲間の誰が首謀者だったのかも明らかではありません(今回逮捕された元嘱託社員?会社役員?)。
阪田産業や親会社であるサカタインクスは、過年度訂正はせずに、2021 年 12 月期に特別損失処理したそうです。
当社の不適切な取引に関する件につきまして (3月10日)(阪田産業)(PDFファイル)
「2021年11月、当社の機材関係の特定の取引先(以下「B社」といいます。)に対して未回収債権が発生し、B社との間の債権回収に関する交渉過程において、同年12月、仕入も売上も実体のない架空循環取引(以下「本件循環取引」といいます。)が存在し、同取引に元社員Aが深く関与している疑いが生じました。 そこで、当社の親会社であるサカタインクスは、調査委員会を発足させ、各種調査を行いました。その結果、元社員Aの関与のもと、B社及び共謀する数社(以下「本件関係各社」といいます。)との間で、本件循環取引が行われてきた事実が認められると結論付けました。」
「すでに2022年2月18日に当社HPにて開示いたしました通り、未回収債権5億6千5百万円の全額に対して貸倒引当金繰入額を特別損失に計上いたしました。なお、本件は当社の経営に重要な影響を及ぼすものではありません。
また、当社は、流出した損失の回収に引き続き最大限努力いたします。」
当社連結子会社の不適切な取引に伴う特別損失(貸倒引当金繰入額)の計上に関するお知らせ(2022年2月)(サカタインクス)
「当社の連結子会社である阪田産業株式会社は、その他セグメントに該当する商社として取引条件の改善ができない機材関連の特定販売先に対して 2021 年 8 月をもって販売取引の停止をしたところ、2021年 10 月において回収期日を過ぎた未回収債権が発生しました。一方、当該取引に関する仕入については、当該販売先と関係のある別会社から仕入れを行っていたため、当該取引の実在性に疑義が生じ、2021 年 12 月 28 日に外部専門家を含む調査委員会を設置し、専門的かつ客観的な視点から事実関係の把握、内部統制の状況、再発防止策等について、調査を継続しております。現時点では、阪田産業株式会社が過去において行っていた当該販売先及び当該販売先と関係のある別会社との一連の取引の一部については、その実在性を確認できないため、対象商品が存在しない取引であった可能性が極めて高いと判断される状況にあります。
この判断に基づき、未回収債権5億6千5百万円の全額に対して貸倒引当金繰入額を特別損失に計上しております。」