三井物産が、農業資材取引をめぐる循環取引問題の社内調査結果を発表したという記事。
「・・・架空の売上高は、2000年9月から08年2月までの約7年半で82億円、同社が得た架空の利益は2億1900万円」とのことです。また、特別損失として今期約10億円を、特別損失計上するようです。利益がなくなっただけでなく、架空取引の循環がストップしたことによる債権の貸倒があります。
「社内調査結果によると、循環取引には福岡県内の9社が関与。農薬や土壌改良剤など農業資材取引を装い、仕入れ先、三井物産、問屋5社、販売先、転売先を経て仕入れ先に還流するルートで、実際には商品を動かさず、伝票や納品書のみの取引を繰り返していた。」
「元嘱託社員は、仕入れ先や転売先とは旧知の間柄で、転売先から06年5月以降に月40万円、仕入れ先から08年4月以降に月20万円を「コンサルタント料」として受け取っていたという。」
膨大な商社の取引の中で、この程度のボリュームの架空取引を発見できないのもやむを得ない面もありますが、プレスリリースの再発防止策でふれている「特定業務の個人への過度な依存」にチェックがかかっていれば、もっと早く発見できたのかもしれません。
「弊社九州支社における不適切な取引」の調査報告及び再発防止策について(会社のプレスリリース)
「本取引の対象商品は、農地用の防犯器具、土壌改良剤、葉面散布剤等の農業に使用される資材等です。本取引は、概ね「仕入先→弊社→複数の問屋(取引先)→販売先→転売先→仕入先」という商流で各商品が循環する仕組みとなっておりました。
本件担当者が本取引を実施した動機は未だ定かではありませんが、本取引開始から相当期間経過後、本件担当者と通謀の上で本取引に関与していた関係者とコンサルタント契約を締結し、コンサルティング料の名目で金銭を受領していたこと及び弊社とは一切関係のない当該関係者の取引に介在し、当該関係者から一定額の口銭を受領していたことも判明しております。」
プレスリリースを見ると、たいした不正ではないということを強調するように、各年度の架空取引金額と会社全体の売上高・利益を対比させた表を掲載しています。
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