会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

東証、統治及ばず「引責」(日経より)

東証、統治及ばず「引責」 システム障害で辞任、「必要なし」から一転 官邸の空気察し自ら決断(記事冒頭のみ)

東証の前社長がシステム障害で引責辞任した背景を取り上げた記事。JPXのガバナンスの仕組み上は、辞任不要という結論だったのに、政権に忖度してやめざるを得なかったようです。

「上場企業のJPXは、指名委員会等設置会社という統治形態を採用する。取締役の選解任は清田氏と、アサヒグループホールディングスの荻田伍元会長兼CEOやNECの遠藤信博会長など4人の社外取締役からなる指名委が方針を決める

指名委は、取引再開の手順に不備があっても事後的に重い責任を負うのは不適切で、少なくとも当日の東証の判断には問題がないとの考えだった。海外の事例と照らし合わせても、清田氏や宮原氏が責任をとって辞任する必要があると考える人は皆無だった。

独立社外取締役による調査委員会もほぼ同じ考えで、上場企業としては経営トップの辞任は必要ないとの方針が固まりつつあった。」

金融庁があやしい動きをしていたそうです。

「「首相は事態を重くみている」。菅義偉政権は日本に世界の金融ハブをつくる「国際金融都市構想」を掲げる。金融庁の氷見野良三長官は障害発生の数日後、首相官邸に入った。

氷見野氏は10月以降、11月30日までに官邸を5回訪問した。安倍晋三前首相が金融庁長官と直接面談するのは年に1~3回程度で、8年弱の長期政権の間で約10回しかなかった。東証関連での訪問は2回程度とみられるが、2カ月で5回は多い。調整に時間がかかり、JPXの上級幹部にも政権の金融に対する強い思いが漏れ伝わってきた。」

結局、前社長の自発的な辞任ということになったのだそうです。

政権に忖度して、民間の法人のトップが辞めざるを得なくなるというのでは、政治の影響を受けるという意味で、香港などと同じです。政治から自由な国際金融都市構想に反する動きでしょう。

東証社長は辞任すべきだったか(日経)(記事冒頭のみ)

「国際金融都市の推進を掲げる菅義偉政権が発足した直後の不始末だ。「クビを差し出さないと許さない」といった政治や世間からの圧力をくみ取ったのかもしれない。」

「海外取引所もたびたびシステム障害を起こすが、トップの辞任に発展した例は聞かない。11月にほぼ終日売買を止めた豪証券取引所は、おわびのリリースを出しただけだ。」

「今回の売買停止に対し、内外の投資家からは不満はほとんど出ていないという。金融庁は「投資家の信頼を著しく損なった」と東証を批判したが、そもそも投資家が寄せる期待はそこまで高くはなかったということだ。」

東証に行政処分、システム障害の「真因」は何か
開発は富士通頼み、求められる「装置産業化」
(東洋経済)

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