シャープが、欧州の太陽電池事業見直しに伴って、2015年3月期の第1四半期で143億円の特別損失を計上するという記事。
「シャープは11日、欧州の太陽電池事業見直しに伴って、2014年4~6月期に143億円の特別損失を計上すると発表した。太陽電池が大きく値下がりしたため。イタリア企業との合弁工場がつくる太陽電池の義務的な買い取りをやめ、両社による発電事業からも撤退する。」
「シャープは11年にエネル・グリーン・パワー(EGP)などと合弁で、イタリアに太陽電池工場を稼働させた。欧州や中東、アフリカに売る計画だったが、供給過剰や、現地政府の電力買い取り価格引き下げによって太陽電池の価格が急落していた。
合弁工場がつくる太陽電池は15日以降、すべてEGPが引き取る。シャープはEGPに一定額を支払い、発電事業会社の株式もすべて譲る。株式は取得時より安く譲るため、差額が損失になる。」
この意思決定を1か月ほど前にしていたら、2014年3月期に損失を計上する必要が出てきます。シャープの2014年3月期の当期純利益(連結)は、116億円しかないので、3年連続の赤字になっていた可能性があります(その前の2期は数千億円単位の大赤字)。タイミングを調整して本決算での損失計上を免れていたのではないかという疑問が浮かびます。
欧州における太陽電池事業の構造改革に伴う特別損失発生に関するお知らせ(PDFファイル)
「3Sunが生産する薄膜太陽電池の引受について、出資パートナーであるEGPとの協議の結果、当社からEGPに対して一定の対価を支払うことにより、当社引受分を本年7月15 日よりEGPが再引受する」とのことなので、手切れ金を支払って、太陽電池の買い取り義務から今後生じる損失を、合弁パートナーに引き受けてもらうということのようです。
買い取り義務から損失が生じていたのであれば、本来、その金額を見積って引当てしておく必要があると思われますが、実際の会計処理はどうだったのでしょうか。
「本件を平成27年3月期第1四半期末日以降に発生した修正後発事象として取り扱い、平成27 年3月期第1四半期の連結決算において14,382 百万円、個別決算において14,517 百万円を特別損失として計上します。」
1か月前であれば、2014年3月期の修正後発事象であり、2014年3月期の決算に織り込むことになっていたでしょう。
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