東京商工リサーチの調べによると、2019年(1-10月)に「粉飾決算」が一因となった倒産が16件あったとのことです。前年同期は8件で、前年同期の2倍に増加しています。
「最近は「税金滞納の解消のため」、「代表者の相続税を支払うため」など、事業承継や税金滞納などに起因した時代を反映したケースも目立つ。」
「特に、今年の特徴は、発覚した粉飾決算の期間が40年間、15年間、10年間など、長期にわたることだ。金融機関にリスケ要請する際のヒアリングや、長期の粉飾でも業績悪化を糊塗できなくなった企業が告白するケースも増えている。」
2社の実例を挙げています。ひびきについては当サイトでも取り上げています。
「最多の卸売業の倒産事例では、海外進出の投資失敗で抱えた赤字を隠蔽するため15年間にもわたり粉飾決算を続けた(株)サンヒット(埼玉県、負債82億4,300万円)は、20行を超える取引金融機関ごとに決算書を作成していた。だが、他行用に作成した決算書を別の金融機関に提出したことで粉飾決算が発覚したといわれる。」
「資本金1億円以上の倒産事例では、(株)ひびき(埼玉県、負債77億900万円)は、税金滞納を解消するため、架空売上で粉飾し納税資金を金融機関から調達。その後も震災などで売上減に陥り、これを隠蔽するため架空売上を計上していた。債権者説明会では多重リースも指摘された。」
粉飾倒産として明らかになるのは氷山の一角だという見方もあるとのことです。
「2003年5月に個人情報保護法が成立し、顧客情報保護の観点から金融機関同士の横のつながりが希薄になっており、これを悪用したとみられる粉飾決算も少なくない。
2019年に入り、40年間、15年間、10年間と、長期間にわたり粉飾決算を行ってきてきた企業が次々に発覚している。粉飾決算に手を染めた企業では、倒産には至らないがバンクミーティングで告白したり、私的整理や再生支援協議会などの支援機関に頼る企業もある。」
最近の「不正経理」カテゴリーもっと見る
最近の記事
カテゴリー
バックナンバー
2000年
人気記事