金融庁は、金融資本市場及び金融産業の活性化等のためのアクションプラン(中間案)を、2010年12月7日付で公表しました。
アクションプランの3本柱(目標?)として以下の3つの項目が挙げられています(概要より)。
1.企業等の規模・成長段階に応じた適切な資金供給
2.アジアと日本とをつなぐ金融
・ アジアの主たる市場(メイン・マーケット)たる日本市場の実現
・ 我が国金融機関のアジア域内での活動拡大の支援
3.国民の資産を有効に活用できる資産運用
具体的な施策の中で経理・財務に関連すると思われるものをピックアップしました(概要より抜粋)。
・中堅・中小企業の実態に応じた会計基準・内部統制報告制度等の見直し
・コミットメントライン法の適用対象の拡大
・新興市場等の信頼性回復・活性化
・プロ向け社債発行・流通市場の整備
・開示制度・運用の見直し
・取引所における業績予想開示の在り方の検討・取組の慫慂
・四半期報告の大幅簡素化
・ライツ・オファリングが円滑に行われるための開示制度等の整備
・外国企業等による英文開示の範囲拡大等の制度整備
・企業における会計実務充実のための会計専門家の活用等の促進
・会計基準の国際的な収れん(コンバージェンス)への対応等
アクションプランなので、実施のスケジュール(工程表)も示されています。法令の改正が必要な事項は、23年度までに実施する予定のものが多いようです。
新興市場等の信頼性回復・活性化については、比較的具体的な施策がアクションプランの別紙としてまとめられています。
この別紙には、監査に関係する項目も含まれています。
・上場申請企業と早い段階から接触のある主幹事証券会社と監査人の間で、早期から情報交換を行う枠組につき検討する。
・主幹事証券会社、監査人及び取引所の間で、有価証券報告書の虚偽記載等の事例について情報交換を行う枠組につき検討する。
・日本公認会計士協会、日本証券業協会及び取引所の間で、例えば監査法人等との間でアドバイザリー契約を一定期間締結した実績がある等、一定水準の体制が整っていると認められる企業に対していわゆる遡及監査を行うことについての考え方を確認する。併せて、上場準備段階には至っていない企業に対して当該考え方の周知を行う。
この中の最後の項目は、規制を緩和する方向の動きです。アドバイザリー業務をやっている期間をあとから遡って監査の対象にすることにもなるので、金融庁や会計士協会がうるさくいっている同時提供禁止という独立性の問題にもかかわってきます。そもそも、棚卸立会のような後から実施できない手続もあるので、監査の質という点からも問題があります。
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