会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

東芝と原発(BLOGOSより)

東芝と原発

東芝の米国子会社巨額損失問題の米国における報道(WSJの記事)を紹介した記事。

まず、業界全体の状況は...

「World Nuclear Industry Reportの年次報告書によると、現在、世界では13 か国で54の原発が建設中で、このうち33 が大きく遅れている。地域やデザイン(沸騰型か加圧型か)、建設コンソーシアムがどこかにかかわらず、トランブルが相次いでいる。

建設のコストを下げてスピードを上げるために、ウエスチングハウスとライバル各社は、工場で大きなモジュールを作った上で、現場で組み立てるという"紋切り型のプラント"を作る工法を編み出した。顧客ごとにカスタマイズスするからコストがかさむわけで、それをやめたのだ。

しかし、この戦略こそが裏目に出た。原子力の専門家は「現場で起きていたトラブルが工場に移っただけで、品質管理という根本の問題を解決しなかった」と指摘する。さらに、同じものを作る"紋切り型"なので、一度ミスがあると何度も繰り返しミスすることを意味した。

フランスではアレバが重要な部材をめぐって記録をごまかし、その部材がフランスやアメリカなどに使われたため、スキャンダルの対応に追われていている。科学者は「原発のプロジェクトマネージャーは、建設にかかる時間とコストをあまりに少なく見積もり過ぎていた」と語る。 」

東芝のケースは...

「ウエスチングハウスは去年12月に、 CB&I Stone & Webster を2億2900 万ドル(約 3300 億円)で買収。

ウエスチングハウスと下請け会社は最近、CB&I ストーン・アンド・ウェブスターが手がけていた南部ジョージア州とサウスカロライナ州の原発建設現場で、建設の責任を引き取った。東芝の説明によると、関連会社の人員の作業効率が予想以上に悪かったことなどがコストを膨らませた。

ウエスチングハウスは、原子力発電所に使われるユニットを構成する大きなモジュールを南部ルイジアナ州のレークチャールズにある施設で作っていたが、それがうまくいかないため、CB&I ストーン・アンド・ウェブスターを買収した。

しかし、■熟練の建設作業員の確保、■品質の管理、さらに■さまざまな厳しい原子力規制をクリアするための部材調達に必要なサプライチェインの利用がうまくできなかった。 」(3300 億円というのは計算ミスでは)

東芝は、CB&I Stone & Webster買収による損失のように発表しているわけですが、実態としては、この会社だけでなく、ウエスチングハウスの事業全体があぶない状況なのかもしれません。会計処理としては、CB&I Stone & Webster買収で発生したのれんの減損ということで、説明しようとしているようですが...。

WSJの記事はこちら。

Toshiba Shares Plunge Further Over Problems at Nuclear-Power Subsidiary

こちらもWSJで、中国で建設中の原発が遅れているという記事。

Troubled Chinese Nuclear Project Illustrates Toshiba’s Challenges

同じ記事の日本語版。

東芝の苦境を物語る中国原発事業の誤算(WSJ)
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