日本政府が東京五輪を中止せざるを得ないと非公式に結論付けたと、英タイムズ紙が報じたという記事。与党幹部がそのような話をしたのだそうです。
「英タイムズ紙が与党幹部の話として報じたところによると、日本政府は、新型コロナウイルス感染症流行のため東京五輪を中止せざるを得ないと非公式に結論付けた。政府は2032年五輪の東京招致に照準を合わせるという。」
「最近の世論調査では、選手団の入国による感染拡大への懸念などから、国民の約8割が今夏の五輪開催を望んでいないとの結果が示された。
タイムズ紙は、こうした世論を背景に、日本政府は将来的な東京五輪開催の可能性を残した上で、今夏の五輪中止を発表することで面目を保つ道を模索していると伝えた。」
与党の中にも会計士の国会議員がいるはずです。いくらオリンピックの準備に多額の資金を投入したからといって、それは埋没原価なのだから、意思決定では無視すべきということを、政府や東京五輪組織委員会に教えてやればよいと思うのですが...。
出場予定だった選手たちは気の毒ですが、アマチュアなのだから中止になったからといって、経済的に困るわけではないでしょう。
経済効果の面でも、開催の有無にかかわらず、新型コロナが世界的に収まるまでは、インバウンド需要はほとんど見込めないわけですから、開催のメリットはありません。また、国立競技場など施設の建設による需要喚起は、すでに発生済みなので、中止になったからといって、ゼロに戻るわけではありません。開催案と中止案を比較する際には、どちらも無視すべきでしょう。
Japan looks for a way out of Tokyo Olympics because of Covid(タイムズ)(記事冒頭のみ)
According to a senior member of the ruling coalition, there is agreement that the Games, already postponed a year, are doomed. The aim now is to find a face-saving way of announcing the cancellation that leaves open the possibility of Tokyo playing host at a later date. “No one wants to be the first to say so but the consensus is that it’s too difficult,” the source said. “Personally, I don’t think it’s going to happen.”
少し前には、ニューヨーク・タイムズでも中止論が報じられていました。
東京五輪中止の可能性、米紙が報道 IOCでも「安全な大会開催は不可能」との声も(東京)
「米有力紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は15日、新型コロナウイルスの影響で今夏の東京五輪の開催見通しが日々厳しさを増しており、第2次大戦後、初の五輪開催中止に追い込まれる可能性があると伝えた。
同紙は、日本と米国、欧州主要国で感染拡大が続き、国際オリンピック委員会(IOC)らの間で、安全な五輪開催は不可能との声が出始めたと指摘。ディック・パウンドIOC委員(カナダ)が開催に「確信が持てない」と述べたことなどを挙げた。」
Hopes for Tokyo’s Summer Olympics Darken(NYT)
東京五輪「どちらに転ぶかわからない」河野氏の発言が波紋 欧米メディア、中止の可能性次々伝える(東京)
「新型コロナウイルスの感染拡大を受け、河野太郎行政改革担当相が日本の閣僚で初めて東京五輪・パラリンピック開催中止の可能性に言及したと海外メディアが報じた。ロイター通信が河野氏の「(無観客の可能性を含めて)五輪に備えて最善を尽くす必要があるが、どちらに転ぶかは分からない」との発言を紹介し、フランス紙フィガロも「日本の閣僚、五輪が開催されない可能性に言及」と伝えた。」
「ブルームバーグ通信は(1)ワクチン接種が始まっても感染が猛威を振るっている(2)緊急事態宣言が出た日本での感染率が依然として高い(3)世論調査での開催支持率の低下―の3点を理由に「安全に開催できるか疑問を投げ掛けている」とした。」
東京五輪、コロナ猛威で暗雲 高まる中止論、春がヤマ場―ワクチン頼みも見通せず(時事)
「「五輪は選手以外に各国からのスタッフが6000~7000人いないとできない。日本だけでは賄えない。難しい」。関係者によると、感染拡大を受け、東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長(元首相)は最近、開催環境がさらに厳しくなったと周辺に打ち明けた。
菅首相は「人類がウイルスに打ち勝った証しとして東京大会の開催を実現する決意だ」と繰り返している。だが、自民党では「中止やむなし」の悲観論が高まっている。」
「東京を含む11都府県に発令中の緊急事態宣言の期限は2月7日までだが、自民内では「延長不可避」の見方が大勢だ。党幹部は宣言延長となれば「五輪は開けない」と断言。」
「米国でも感染拡大が続き、首相周辺は「開催できるかは米国次第。米国人選手が参加しないとスポンサーもつかない」と弱音をはく。」
政府や組織委は中止説を否定していますが、大本営発表としか思えません。
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英紙の東京五輪中止決定報道 組織委否定「菅総理が大会開催へ決意」内閣官房も報道否定(デイリースポーツ)
「「政府においては、菅総理が大会開催への決意を示しておられ、また、コロナ対策調整会議を設置し、大会開催のために徹底的なコロナ対策を講ずることを主導いただいている」と、否定。「政府、東京都、組織委、IOC、IPCなどすべての関係機関が、今年の夏の大会開催に完全に注力しており、組織委としては、一日も早い社会の回復を願い、今夏の安全で安心な大会開催実現に向けて、引き続き、関係団体と緊密に連携し、準備に尽力してまいりたい」と、開催への決意をつづった。
また、内閣官房も「日本政府が東京大会の中止を非公式に結論付けたとの旨の報道がございましたが、そのような事実は全くございません」と報道を否定するコメントを発表。」
五輪強行は「悪いギャンブル」=岩田・神戸大大学院教授(ロイター)
「神戸大学大学院の岩田健太郎教授(感染症治療学)は「お金をすってもまたつぎ込む、悪いギャンブラーのようなもの」と政府の対応を批判する。」
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