会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

東芝“両刃”の米破産法浮上 WHの損失リスク切り離しへ覚悟(SankeiBizより)

東芝“両刃”の米破産法浮上 WHの損失リスク切り離しへ覚悟

東芝が、米原発子会社ウェスチングハウス・エレクトリック(WH)について、米連邦破産法11条の適用申請を選択肢として検討するという記事。日経その他でも報じられています。

「経営再建に向け、最大の課題はバケツに空いた大きな穴をいかにふさぐかだ。巨額損失の元凶となった海外の原発事業を大幅に縮小していく考えで、「5つ程度のシナリオで本格的な議論を始めた」(幹部)という。

すでにリスクの高い建設工事からの撤退やWHへの出資比率を引き下げる再建策を表明した。このほか、既存の受注案件を選別し、採算性などから撤退すべき案件から手を引く策もある。さらにWHへの破産法の適用で一気に再建する案も出ている。慎重な意見もあって幹部間でも意見は割れており、今後、議論を深めていく。」

「東芝は米国の原発建設で、WHに対して約8000億円もの債務保証をしている。WHの法的整理に伴い、受注している原発工事を完了できなくなった場合、発注元の電力会社などに対し違約金を支払う必要があり、半導体事業の売却で1兆円以上の資金を得ることができても吹き飛びかねない。」

さまざまなシナリオを検討するのはよいのですが、発注者に保証(本当に8千億円といった上限が決まっているのか?)を入れている以上、破産法を適用したからといって、原発工事の責任から逃れることはできないのでは。また、破産法適用の話が出て、WHの信用不安が拡がると、原発工事の進捗が遅れたりしないのでしょうか。対抗措置として、下請け業者が前払金支払いを求めたり、発注者が工事代金の支払いを遅らせたりすれば、資金繰りにも影響してくるように思えるのですが。

半導体メモリー事業の売却については、正式決定したようです。

「半導体メモリー事業は3月30日開催の臨時株主総会で分社化の承認を得た後、4月1日に事業を引き継ぐ新会社「東芝メモリ」を発足。社長には東芝の成毛康雄副社長が就く。その後は3月から5月にかけて実施する入札で過半の株式を売却し、1兆円以上の資金調達を目指す。」

会社からプレスリリースも出ています。

東芝、ウエスチングハウスの米破産法申請も選択肢(日経)(記事冒頭のみ)

当社メモリ事業の会社分割に係る吸収分割契約の締結について(東芝)(PDFファイル)

4月1日にメモリ事業が会社分割され、東芝メモリ(2月10 日に設立された完全子会社)が承継会社として吸収する予定です。3月30日開催の吸収分割承認臨時株主総会での承認が条件となります。吸収分割の対価は承継会社の普通株式2,000 株です。外部への事業売却は4月以降ということになります。

4月1日の吸収会社分割までは、東芝の100%子会社との取引であり、連結上の影響はありません。実際に東芝メモリの株式を外部に過半数売却して連結子会社から外れたときに、利益が計上されるのでしょう。

東芝、米原発子会社の破産法申請も検討(TBS)

「東芝のある幹部は「色々な手続きもあるし、最終的に決めるのはウエスチングハウスの経営陣だ」としながらも、「当然、検討はしている」と述べました。」

ウエスチングハウスを支配しているのは東芝なので、最終的に決めるのは東芝でしょう。

東芝社長「債務超過で信用低下でも」(日本テレビ)

「現時点では今年度末に債務超過になる見込みで、東証2部への指定替えの可能性があることも説明した。」

当サイトの関連記事(2月14日の第3四半期業績見込み発表について)
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