首相官邸での防衛費増に関する有識者会議で、増税論が大勢を占めたという記事。
「これまでの協議をまとめた資料は増税を念頭に置いた意見が大勢を占めた。
「安易に国債に頼らず、国民全体での負担が必要」といった主張が複数あった。鈴木俊一財務相は会議で恒久的な財源を確保すべきだと主張し「税制措置を含め多角的に検討する必要性がある」と述べた。
財務省は提出資料で「幅広い税目での負担が必要」と訴えた。東日本大震災の際、財源の一部を税金で賄ったと説明した。」
首相は、「2023年度予算編成と税制改正で結論を得るよう指示した」とのことです。
防衛費増額の財源 政府 増税含め検討へ 年末に向け議論本格化(NHK)
「防衛費増額の財源をめぐり、岸田総理大臣は9日の有識者会議で「経済財政の持続性に対する高い信用や産業競争力とあわせて国力全体を強化していくことが重要だ」と述べたうえで、来年度の予算編成や税制改正で結論を得るよう鈴木財務大臣に指示しました。
防衛費をめぐって、政府は、来年度からの5年間で防衛力を抜本的に強化するとしていることに加え、その後も多額の予算が必要になると見ていることから恒久的な財源の確保を図るべきだとしています。」
少なくとも、これまでのような法人税率引き下げ路線は転換されるのでしょう。
防衛費の財源、「当面は国債発行」で 自民の「保守団結の会」が提言(朝日)
国債を出しまくり、その消化のために金融も緩和していくとなると、ますます円安となり、海外からの防衛装備調達も難しくなりそうです。
国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議(首相官邸)
日経などでいっている資料は、これのことでしょう。
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議論の整理(PDFファイル)
財源の確保に関する意見から。
「財源の確保について、恒常的な歳出である防衛費については国債に頼らず恒久財源を 確保すべきである。我が国が直面する数ある政策課題の中でも、防衛力の強化が喫緊の 課題ということであれば、まずはほかの歳出を削減して財源を捻出していくことを検討すべ き。その上で、追加的な財源を検討する際には、防衛力強化の受益が広く国民全体に及 ぶことを踏まえて、その費用も国民全体で広く負担するというのが基本的な考え方であり、 国民の理解が必要。」
「防衛力の強化は単年度の話ではなく継続して取り組む課題。必要な財源を安定して確保 していかなければならない。自分の国は自分で守るのだから、財源を安易に国債に頼るの ではなく、国民全体で負担することが大変必要。」
「国を守るのは自らの責任であるという国家としての当事者意識と、国を守るのは国民全体 の仕事だという国民としての当事者意識を肝に銘じておく必要がある。防衛費の増大を国 民に求めるに当たっては、国民に当事者意識を持って受け止めてもらい、財源に関しては 幅広く負担してもらうことが大切。」
「日本はそもそも OECD 諸国と比べ、GDP に占める政府の租税収入の割合は非常に低く、 租税負担が少ない国という特徴がある。他方、現下の国際情勢の下で、国を守るために投 資が必要となっているため、もともと低いものを増やさせてもらう必要があることを、率直に国 民に対して説明し、理解を求めることが必要。」
「我が国の所得税など直接税は、明治時代以降、安全保障環境の緊迫化などと密接に関 連して創設され、第二次大戦後に安定的税制確立を目指し改正されるなど、国民の理解を 得て歳入増の努力を重ねてきた歴史とも言える。」
たぶん経団連あたりがいっているのだと思いますが、法人税だけは例外にしてくれという意見もあったようです。
「財源の一つとしての法人税については、成長と分配の好循環の実現に向け、多くの企業 が国内投資や賃上げに取り組んでいる中、こうした企業の努力に水を差すことのないよう、 議論を深めていくべき。」
防衛費のための大増税時代が来そうな気配です。国民全体に幅広くとなると、消費税増税となりそうですが...