消費税に軽減税率を導入した場合の問題点を解説した記事。
商品の販売の際に複数税率で混乱が生じるという点だけでなく、仕入の処理も複雑になることが書かれています。
「・・・生鮮食料品には軽減税率にするとしても、「トレーに乗せた魚」はどうなるか。プラスティックトレーは明らかに生鮮食料品ではないから、魚屋はトレーを標準税率で課税されて仕入れる。しかし、魚は軽減税率となるから、「トレーに乗せた魚」は軽減税率を付けて消費者に売られることになるだろう。しかし、魚屋が消費税を納税するときの手続きは、トレーは標準税率で仕入れ、魚は軽減税率で仕入れ、「トレーに乗せた魚」は軽減税率で売った、と正確に記録して納税しなければならない。
これに、一部でもうっかりミスやごまかしが生じれば、消費税を正しく納税できない羽目になる。さらに、トレーはより高い標準税率で、「トレーに乗せた魚」は軽減税率だから、仕入時に払った消費税額より売上時の受け取った消費税額が少なくなる場合もあり、その差額はいちいち税務署から還付してもらう手続きも生じる(これは、インボイスがあろうとなかろうと生じる)。・・・」
そもそも、軽減税率が適用される売上のための標準税率適用の仕入について、全額、仕入税額控除できる(そして仕入税額の方が大きければ還付する)という仕組みにするかどうかもわかりません。現行制度では、非課税売上(ゼロ%の軽減税率が適用されていると考えることができる)に対応する仕入については、仕入税額控除はまったく認められていないわけですから、それとのバランスを考慮すれば、全額を控除するのはおかしいという話になるはずです。
軽減税率採用となれば、経理方式だけでなく、消費税の仕組み自体を大きく変える必要があると思われます。
インボイスについては、軽減税率が導入されなくても、益税対策や不正防止のために、将来的には採用せざるを得なくなるのではないでしょうか。
最近の「企業会計」カテゴリーもっと見る
最近の記事
カテゴリー
バックナンバー
2000年
人気記事