英FRC 新型コロナに関するガイダンスを更新（経営財務より）

英FRC　新型コロナに関するガイダンスを更新

英国FRC（財務報告協議会）が、企業と監査人に向けて、新型コロナウイルス感染症に関するガイダンスを公表したという記事。

「企業に対しては「重要な不確実性」の開示や、代替的業績指標（APM）の使用に関する留意点等を示し、監査人に対しては不正リスクの高まりへの対処やリモート監査における監査証拠の収集の留意点等を示している。」

詳しくは、週刊経営財務12月14日号をご覧ください。

以下、FRCのウェブサイトより。


監査人向けのガイダンス。
BULLETIN: GUIDANCE FOR AUDITORS AND MATTERS TO CONSIDER WHERE ENGAGEMENTS ARE FFECTED BY CORONAVIRUS (COVID-19) – Updated December 2020（PDFファイル）

総論部分では、パンデミックだからといって、監査の質が下がってはならない、監査基準に完全に準拠しなければならない、監査完了に追加的時間が必要であれば、報告書の提出が遅れるリスクがあっても、その時間を取るべきであるといっています。

The FRC remains concerned that the pandemic should not undermine the delivery of highquality audits. Audits should continue to comply fully with required standards. Additional time may be required to complete audits and it is important that this is taken, even at the risk of delaying company reporting.

各論部分は表になっていて、論点ごとにまとめられています。

項目だけ挙げると．．．

Acceptance and take-on of new audit engagements　監査契約の受嘱

Planned Audit Approach　監査計画

Materiality　重要性

Communication with Those Charged with Governance　ガバナンスをになう機関とのコミュニケーション

Audit Evidence, including Audit Confirmations 確認などの監査証拠

Compliance with Laws and Regulations　法令順守（違法行為）

Going Concern ゴーイングコンサーン

Group Audits　グループ監査

Access to Information　情報へのアクセス

Quality Control 監査品質管理

Reporting - Key Audit Matters (when ISA (UK) 701 applies)　監査報告　KAM

Reporting - Scoping　監査報告　範囲

Reporting - Modified Opinions　監査報告　無限定以外の意見

Subsequent Events 後発事象

Written Representations　（経営者）確認書

Professional Scepticism　職業的懐疑心

Partner Rotation　パートナーローテーション

Ethical Matters　職業倫理事項
Support to Audited Entities　監査先企業への支援業務

企業向けのガイダンス。
Company Guidance (Updated 4 December 2020) (COVID-19)（PDFファイル）

監査済み年次財務報告書の提出期限の延長措置（決算日から6か月以内に延長）は、少なくとも来年4月決算会社まで適用されるのだそうです。

ワクチンが行き渡れば、新型コロナは収束していくのでしょうが、欧州や米国の12月決算会社の監査では、かなりの影響が残るのでしょう。2019年12月期は、新型コロナの影響が大きくなる前に監査まで終わっていたのではないかと思われますが、今年は、もっと大きな影響が出るのかもしれません。欧州や米国に重要な子会社がある場合は、事前に対策をしておくべきなのでしょう。