架空取り引き繰り返し約10億円詐取か 映像制作会社役員ら逮捕
「円盤家」という東京の映像制作会社の代表取締役らが詐欺容疑で逮捕されたという記事。長年にわたり架空循環取引をやっていて、相手会社(BS放送事業者)に損害を与えたようです。
「警視庁によりますと、6年前の9月から12月にかけて、映像制作の発注があったかのように装い、放送事業者からおよそ10億円をだまし取ったとして、詐欺の疑いが持たれています。
2人は映像制作の仕事を受注したかのように装い、放送事業者に支払いを要求する一方で、事業者には支払われた代金の大半を振り込んでいたということです。
平成29年12月までの11年近くの間に同様の手口でおよそ650件、総額で122億円の架空の取り引きを繰り返していたとみられるということです。」
「広告代理店など映像制作の発注者(実際は「円盤家」)→放送事業者→「円盤家」」という取引の流れだったのでしょう。放送事業者からの支払いタイミングと、放送事業者が発注者から代金を受け取るタイミングのズレを利用していたのでしょうが、架空取引ですから、放送事業者の利益分(実質的には利息)は、「円盤家」が負担するか、取引金額に上乗せしていくしかなく、長く続きとも思えません。それでも11年続いたというのは、利息を少しずつ負担しながら、取引残高が急膨張しないよううまくコントロールしていたのでしょう。
また、放送事業者では、受注の際にきちんと契約の実在性をチェックしなかったのでしょうか。結果として、放送事業者の売上も水増しされていたことになります。(なぜ実名を報じないのでしょうか。単純な被害者ではないでしょう。)
最終的には、放送事業者には5億円以上の損害が出たそうです。
「支払いが滞ったために発覚し、放送事業者には5億円以上の損害が出たということで、警視庁が取引の詳しい実態を調べています。」
「循環取引」で10億円詐取容疑 映像制作会社の社長ら逮捕―警視庁(時事)
「逮捕容疑は2017年9~12月、都内の大手広告代理店関連会社から映像制作の発注があったと偽り、取引先のBSデジタル番組放送会社に4回にわたり、CMや新商品のプロモーション動画制作などの名目で計約10億円を請求し、だまし取った疑い。
同課によると、映像制作会社の資金繰りが悪化したため、不正な取引を繰り返していた。だまし取った金のほとんどは発注代金を装って取引先に払い戻したり、別の会社への支払いに充当したりしていた。」
1回あたり、平均2億円超の取引なのに、BSデジタル番組放送会社は、事前に契約をチェックしなかったのでしょうか。また、事後的にも気がつかなかったのでしょうか(完成した制作物の有無でわかりそうなものです)。2億円もあれば、日本では映画が1本撮れるのでは。
循環取引で122億円詐取か 詐欺容疑で制作会社代表ら逮捕(産経)
「捜査2課によると、×××容疑者らは、広告代理店の関連会社が円盤家に映像制作を発注した際、放送事業者が支払いを立て替えていたことを悪用。平成19年2月~29年12月、偽の発注書を放送事業者に提出するなどして計約650件の架空取引をし、計約122億円をだまし取っていたとされる。
詐取金の多くは、発注元の会社を装い放送事業者に支払うことに充てていた。」