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社内調査委員会の調査報告書受領等に関するお知らせ(平和不動産)

社内調査委員会の調査報告書受領等に関するお知らせ(PDFファイル)

東証1部上場、平和不動産のプレスリリース。

従業員による会社資産の不正流用の疑義に関して、社内調査委員会から調査報告書を受領したとのことです。

業績への影響について。すべて当期の損失処理とするそうです(過年度訂正はなし)。

「当社は、2020 年3月期第2四半期決算において、本調査結果において認定された本件に伴う純資産影響額 159 百万円に、2020 年3月期第2四半期に発生した手数料過大支払額(調査報告書(要約版)4頁参照)18 百万円を加えた 177 百万円を不正関連損失として特別損失に計上する予定です。また、純資産影響額の算出において税務計算による影響は対象としておりません。 」

調査のきっかけは...

「当社は、2019 年8月から実施されている税務調査の過程において、当社がその不動産取引において仲介手数料を支払った仲介業者等から、当社不動産ソリューション部に属する当社従業員又は当社従業員が実質的に経営する会社金銭を受領している旨のキックバック(以下「本件キックバック」という。)に関する疑義を認識した。

また、当社は、2019 年 10 月上旬、本件キックバックの情報に加えて、当社の不動産ソリューション部に属する従業員が、その実質的に経営する会社で運営する店舗の内装工事を、当社の保有する不動産の修繕工事に係る費用の一部で賄っている旨の工事費流用(以下「本件工事費流用」という。また、本件キックバック及び本件工事費流用を併せて「本件不正行為」という。)に関する匿名による通報を受けた。 」(報告書2ページ)

以下、これらに関し判明した事実(報告書4~5ページ)。不動産ソリューション部に属する部長が首謀者のようです。

まず、キックバックについて。

「本調査の結果、当該従業員3名の個人会社が、2014 年9月から 2019 年7月までの間に、当社が関係する不動産取引に関して、仲介業者等から報酬を受領していた案件は合計で 23件に上ることが判明した。また、これらの案件の一部について、当該従業員3名以外の当社不動産ソリューション部に属する従業員1名(以下「当該幇助者」という。)が、不動産ソリューション部長による個人会社での報酬を得る行為を幇助していたことが判明した。

当委員会では、これら合計 23 件のうち 22 件については、当該従業員3名が当社に対する誠実義務に違反してその個人会社で報酬を得たことにより、その全部又は一部が当社の損害(過大支払又は逸失利益)となったと評価し得るものと判断した。 」

「本件キックバックの手数料過大支払類型の案件のうち、当社が仲介業者等に支払った仲介手数料等が当該従業員3名の個人会社に還流した金額は 377百万円(十万円以下は省略。以下同じ。)と認定された。

そのうち、117 百万円が 2020 年3月期の第 1 四半期末に棚卸資産及び固定資産に計上されており、減額修正すべきである。その結果、2020 年3月期の第2四半期決算に及ぼす純資産影響額は、117 百万円である。また、2020 年3月期の第2四半期決算期間においても18 百万円の過大支払が発生している。 」

工事費流用について。

「本調査の結果、当社不動産ソリューション部長が、その個人会社において負担すべき店舗の内装工事費を実際よりも安くするために、当社の保有する不動産の修繕工事1件について、当社の負担する本件工事費を本来あるべき工事費用よりも過大なものとすることで両工事を受注した工事業者(以下「当該工事業者」という。)に利益を落とさせ、帳尻を合わせた疑いが強いことが判明した。」

本件工事費流用額は 50 百万円と推認される。そのうち、42 百万円が 2020 年3月期第 1四半期末に棚卸資産に計上されているので減額修正すべきである。その結果、2020 年3月期の第2四半期決算に及ぼす純資産影響額は、42 百万円である。 」

これら2種類の不正による被害額は合計4億円超ということになります。(そのほかに会社が得られるはずであったが、不正によって得られなかった仲介手数料の金額(逸出利益)があります。)
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