仕組み債に対する金融庁の態度がますます厳しくなっているという記事。
「仕組み債が今回の行政方針でやり玉に挙げられる予兆はあった。関係者の耳目を集めたのが、2022年5月に公表された「資産運用業高度化プログレスレポート2022」の一文だ。
「株式に代えてEB債を購入する意義はほとんどない」。
金融庁は仕組み債の一種であるEB債について、異例の表現で切り捨てた。
「ここまで厳しい表現は見たことがない」。金融庁で主任統括検査官を務めた、日本資産運用基盤グループの長澤敏夫主任研究員は驚く。「これまで金融庁が取り上げた商品は、いずれも金融機関の販売手法が問題にされた。今回は手法だけでなく、(EB債は)商品性そのものも問うている」。」
「金融庁が2019年4月に売り出された個人投資家向けのEB債856本の運用成績を調査したところ、中には3ヵ月で元本の8割を毀損した例もあり、「国内外の債券や株式と比較してリスクに対するリターンが見合わない」と結論づけた。ともすれば投機性を帯びかねない仕組み債だが、金融機関にとっては販売手数料が高く、営業現場では積極的に販売されていた。」
仕組み債以外にももっとひどい金融商品があって、金融機関との間でいたちごっこなのだそうです。
「「ローリスクと勧誘されたが、想定外に大きく元本割れする可能性が生じた」。2009年1月、国民生活センターがある商品の注意喚起を行った。やり玉に挙がったのは「ノックイン型投資信託」。早い話が、仕組み債を組み入れた投信だ。
前年に起きたリーマン・ショックを受けて、投信に組み入れていた仕組み債がノックイン価格を下回り、元本を毀損した投資家が続出した。営業員がリスクを過小評価するような説明を行っていた例もあり、相次ぐ苦情を受けて金融庁は2012年に監督指針を改正した。ノックイン投信の勧誘や販売を行う際、顧客に対して商品性やリスクの確認書を取得・保存したり、管理職の承認を得たりすることなどを求めた。」
「顧客本位の業務運営について2022年6月に公表したレポートでは、各社の売れ筋商品について、「販売の主力が投資信託から外貨建て一時払い保険、仕組み債へと短期間に変遷し、真の顧客ニーズに対応した結果か不自然」なケースがあると指摘した。いずれも過去に金融庁が問題視した商品だ。
そうした中、金融庁が次に矛先を向けるとささやかれるのは、顧客が金融機関に運用を一任するサービスであるファンドラップだ。2021年度の契約額は約2.3兆円と前年度から2倍弱に増え、地方銀行を中心に取り扱いを始める金融機関が増えている。
ファンドラップは投資先の選定や売買を金融機関に任せる分配分手数料がかさむ。一方金融庁によれば、株式や債券など幅広い資産に投資するバランス型投資信託にパフォーマンスが劣後する商品が多く、高い手数料に見合うアドバイス等の付加価値も不十分だという。」
金融機関となるべくつきあわないのがよいのでは。つきあえば、金融機関側にコストがかかり、そのコストを回収するために金融機関がもうかる商品を売りつけるということになるでしょう。
仕組み債、収益依存が高い地銀「集中的に検証」 金融庁(日経)(記事冒頭のみ)