東証の市場再編にからめて、気候変動などサステナビリティー関連情報の開示強化の動向をまとめた記事。
「非財務情報の開示にとりわけ大きな影響を与えるとみられるのが、21年11月にIFRS(国際会計基準)財団が設立を発表した国際サステナビリティー基準審議会(ISSB)である。議長には仏ダノンの前最高経営責任者(CEO)、エマニュエル・ファベール氏が就いた。
ISSBは22年からサステナビリティーに関する情報開示の基準を順次策定する予定だ。第1弾として年内にも気候変動関連の基準を作る。」
これにより、国際的にさまざまな基準が乱立する状況は解消に向かうようです。
しかし、開示する側の負担は相当増えることが予想されます。
「BNPパリバ証券チーフESGストラテジストの中空麻奈氏は「同じフォーマットで情報開示が進み、ESG投資の基準として使いやすいものになる一方、企業の負担は増える」と指摘する。
気候変動に関する基準は既にプロトタイプ(試作版)が発表されている。気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の枠組みをベースにしながら、業種別の指標を提示してある。細かいSASBの指標を採用しているため、対応に苦労する企業が出てくると予想される。例えば、日用品はパーム油の調達に占める認証油の比率、自動車はゼロエミッション車の販売台数といった指標がある。」
日本ではさしあたり、コーポレートガバナンス・コードにも規定されたTCFDへの対応が問題となりますが...
「実際、TCFDに基づく開示は進んでいるのか。TCFDが21年10月に発表した報告書によるとまだ途上にある。69カ国・1651社を対象に調査したところ、開示はこの2~3年で進んでいるものの、TCFDの項目別に開示している企業の割合を見ると半数に満たないものがほとんどだ。最も多いものでも「気候関連のリスクと機会」の52%にとどまる。
KPMGジャパンの芝坂氏は「TCFDの開示状況を見ている限りでは、ISSBの基準に対応できる企業は一握りではないか」と言う。」
ということで、日本だけでなく、世界的にもまだまだのようです。
そのほか、欧州連合(EU)や米SECの動向にもふれています。
開示する内容は増えていきますが...
「すべての項目について開示していれば企業の評価が上がるわけではない。大和総研の藤野氏は「自社の経営戦略に沿って開示することが重要だ」と指摘。「どこに力を入れていくのか、ビジネスモデルを整理し、数あるリスクの中から重要なものを特定し、情報を開示していくのが望ましい」と話す。」
当サイトの関連記事(サステナビリティ関連財務情報の開示基準のプロトタイプに関する解説記事について)
上記日経記事ではふれていませんが、日本でもISSBに似た組織を作ることになっています。
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当サイトの関連記事(サステナビリティ基準委員会(SSBJ)の設立について)
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