米SECが、時価会計に関するガイダンスを発表したという記事。
「米国会計基準では時価について、自発的な市場参加者による秩序立った取引に基づくものとしている。今回のSECのガイダンスは、清算に伴うものなど売却を余儀なくされた場合は秩序立った取引とはみなさないことを示している。
ガイダンス文書によると、SECは、当該市場に価格設定の根拠となるものが存在しない場合、企業の経営陣が提示する内部的な想定価格が公正価格として適用可能であることを再確認した。」
日経新聞の見出しなどでは「時価会計適用を緩和」といっていますが、少なくとも建前上は時価(公正価値)の算定に関する解釈を明確にしたにすぎません(SECのプレスリリースでもClarificationsだといっています)。たしか、売り急ぎや買い急ぎでない場合の取引価格であることが時価の条件となっていたはずですので、現在のように金融機関が資金繰りに困って金融商品を投げ売りしているような場合には、実際に取り引きされた価格が時価とはならないケースもあるということでしょう。
SEC Office of the Chief Accountant and FASB Staff Clarifications on Fair Value Accounting(SECのプレスリリース)(2008年9月30日付)
指針は簡単なQ&Aの形式です。Qの部分だけ転載します。
Can management's internal assumptions (e.g., expected cash flows) be used to measure fair value when relevant market evidence does not exist?(市場からの時価の証拠が存在しない場合、内部的仮定(期待キャッシュフローなど)の使用が可能か?)
How should the use of "market" quotes (e.g., broker quotes or information from a pricing service) be considered when assessing the mix of information available to measure fair value?
Are transactions that are determined to be disorderly representative of fair value? When is a distressed (disorderly) sale indicative of fair value? (正常でない取引は時価の指標となるか?)(Aでは、投げ売りかどうかの決定には判断が必要といっています。)
Can transactions in an inactive market affect fair value measurements?(活発でない市場における取引は時価算定に影響を与えるか?)
What factors should be considered in determining whether an investment is other-than-temporarily impaired?(一時的な減損かどうかを判断する際に考慮すべき要因は?)
SECとFASB、証券の時価評価を柔軟にする指針を発表
S.E.C. Move May Relax Asset Rule
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