政府が閣議決定した「新成長戦略」に、「四半期報告の大幅簡素化」という項目が盛り込まれているという記事。
「狙いは、IFRS適用を見据えた企業の実務負担の軽減。IFRSを先行適用する欧州には、日本が導入したような四半期・内部統制報告制度はない。」
経営財務(6月28日号)の記事を読むと、金融庁がすでに四半期報告制度の改正準備に着手しているそうです。
「新成長戦略」について(PDFファイル)(首相官邸のサイトより)
この報告書をみると、たしかに、「金融戦略」という見出しで、次のようなことが具体的な案として示されています。
「ユーロ市場と比肩する市場を我が国に実現するため、プロ向けの社債発行・流通市場を整備するとともに、外国企業等による我が国での資金調達を促進するための英文開示の範囲拡大等を実施する。
あわせて、中堅・中小企業に係る会計基準・内部統制報告制度等の見直し、四半期報告の大幅簡素化など、所要の改革を2010 年中に行う。また、国民金融資産を成長分野や地域に活用するための方策として、民間金融機関の積極的な取組を促す。さらに、政府系金融機関・財政投融資等の活用やファンドスキームの活用・検討など、官民総動員による対応を進める。」
もう少し根本的に見直すのであれば、以下のように基準まで遡って改訂してはどうでしょうか。
まず、現行の中間財務諸表作成基準と中間監査基準を廃止します。
次に、現行の四半期財務諸表会計基準や四半期レビュー基準の名称や基準の中の用語を「四半期」から「中間」に変えるとともに、半期決算にも対応できるように若干の見直しを行います。
これらの基準を使って、上場会社でない金商法対象会社は、現行の四半期会計基準と同様の作成基準により中間(半期)財務諸表を作成し、四半期レビュー基準と同様の基準で(中間監査ではなく)レビューを受けます。
上場会社については、さすがに東証1部上場会社は四半期報告制度を維持するとしても、新興市場や地方の証券取引所は、四半期報告制度はやめてしまって(というのが少し乱暴であれば、四半期が不要な市場を新たに創設して)、半期報告制度を適用することにします。
簡素化する狙いは、大企業ではなく、中堅以下の上場企業や、これから上場しようという企業でしょうから、狙いどおりの簡素化が可能となります。
さらに、中間財務諸表や中間監査という存在意義がなくなりつつある制度をスクラップできるという効果もあります。
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