倒産前の1990年代の話ですが、JALが政治家の関係者から社員寮の用地を相場の3倍もの値段(時価との差額は100億円)で買っていたという記事。
「二階俊博の地元和歌山県には、JALと二階の濃密なかかわりを如実に物語る建物がある。94年の関空オープンに合わせ、空港に勤務する社員のために建設されたJALのマンモス社宅だ。バブル期、山林を切りひらき、5棟の14階建高層住宅を建築しようと計画された。そこは「日航タウン」と呼ばれたが、バブル経済の崩壊とともに計画はしぼんだ。5棟のうち2棟だけが建設され、ビルの高さも10階になる。あぶく景気の残滓だった。
関空勤務のための社員寮といいながら、空港からはかなり遠い。会社側はわざわざ通勤のためにバスを仕立てたが、それでも一時間は優にかかる。「まるで集団疎開みたい」と社員からの評判は最悪だった。なぜ、こんな辺鄙な場所に巨大な社員寮を建設したのか。日航タウン計画を立てた理由は、容易に察しがつく。
もともと建設用地の地主だったのが、二階俊博後援会「俊友会」の会長である。そこには当然のごとく二階本人の影がちらついた。県議時代から二階の支援者である俊友会会長は、設計業者でもあった。そして二階が運輸政務次官のころ、社員寮の建設計画が決まった。
くだんの社員寮の敷地が売買されたのは1991年2月のことだ。JALと後援会長との土地の売買交渉はわずか1年足らず。あっさりと決まった。そんなに短時間の割に、JAL側の購入価格がバカに高い。敷地は11万平米で、相場は50億円程度だ。JALはそれを152億円で購入した。実に相場の3倍である。JALの経営破綻後、むろんこれが問題になる。
2010年8月、JALの倒産要因を調査したコンプライアンス調査委員会の委員長で、元最高裁判事の才口千晴がこう報告書に書いた。
〈価格の適正を含めて不自然な点があるといわざるを得ない〉
2010年8月、JALの倒産要因を調査したコンプライアンス調査委員会の委員長で、元最高裁判事の才口千晴がそう報告書に書いている。」
こんなことをやっていたからつぶれたのでしょう。
会計的にも、土地の取得原価が水増しされていたわけですから、本来は訂正させるべきものでしょう。監督当局はなぜ問題にしなかったのでしょうか。
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金丸信逮捕で揺れる建設業界 1兆5000億の関空工事で暗躍した“天皇”の正体とは
『泥のカネ 裏金王・水谷功と権力者の饗宴』より #12(文春オンライン)
「スーパーゼネコン5社の一角「大林組」の常務だった平島は、業界に君臨してきた談合の総元締めとして知られる。大林組から西松建設に移籍したのち、準大手の西松建設をわずか1年で収益ナンバーワンに押し上げた伝説の談合屋である。」