7月22日開催の企業会計審議会第4回会計部会の資料が、金融庁ウェブサイトで公開されました。
資料をみると、今回は、東証から上場会社の「会計基準の選択に関する基本的な考え方」の開示内容の報告、ASBJから活動報告、4大監査法人(あらた含む)から「IFRS監査を担う人材の育成」というプレゼンテーションなどです。
4大監査法人のプレゼンでは、IFRS監査を行うための資格制度、研修制度、審査・コンサルテーションの体制、IFRS適用会社・適用予定会社に見合う人員を確保しているかなどをそれぞれ説明したようです。
(前回は教育機関における人材育成などについてプレゼンがありました。次回は、金融庁や財務局から「IFRSによる開示の監督を担う人材の育成」の説明でしょうか。)
ASBJの報告では、のれんの償却や純利益に関するIASBにおける議論、収益認識会計基準の開発などについて、ふれたようです。資料は非常に簡潔にまとまっています。
前回が去年の11月ですから、半年に1回程度の開催となります。特に何かを決めるという会議ではなさそうなので、世間から忘れられない程度の頻度なのでしょう。
当サイトの関連記事(東証「会計基準の選択に関する基本的な考え方」の開示内容の分析について)
(補足)
何か決まったわけではないので日経も軽い記事です。
国際会計基準、121社が適用 金融庁公表(日経)
「IFRSでは買収額から企業の資産価値を差し引いた「のれん代」は価値が大きく下がった時だけ損失として計上する。海外M&Aを展開する企業にとっては利益が目減りしにくく、商社や電気機器、医薬品など大手企業での採用が進んだ。」
しかし、この日のASBJの資料を見ると、IASBでは、のれんの償却の再導入の是非を議論したり、のれん減損についても「のれんの減損の改善に関する議論(取得前ヘッドルーム・アプローチの検討)を行っている」そうなので、将来的には変わってくるかもしれません。
ちなみに、「取得前ヘッドルーム・アプローチ」というのをグーグルで調べてみると、ASBJの会議資料が出てきます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/28/f1/c5453957fab3b25d9ca9ce1ea907b1d1.png)
(次のステップで回収可能価額と比較)
(のれんに関する IASB における議論の状況(4月21日)より)
既存の事業に買収した事業をくっつけて一体としてのれんの減損を判定するというときに、現行基準では、既存事業の超過利益(会計上はのれんとして計上されていない)が事業の回収可能価額に含まれてしまい、回収可能価額と帳簿価額が対応しません。そこで、買収時に既存事業ののれん金額を計算しておいて(計算だけで計上はしない)、のれん減損の判定時にはその金額を帳簿価額の方に上乗せして、回収可能価額と比較します。これを「取得前ヘッドルーム・アプローチ」というようです。帳簿価額が上乗せされる分だけ、のれん減損が生じやすくなります。