人材サービス会社グッドウィル・グループが、派遣・請負大手のクリスタル(非上場)を買収したという記事。
記事によれば、「グッドウィルは連結売上高2000億円に満たないのに対し、最大手ともいわれるクリスタルは同6000億円弱」です。
グッドウィルのプレスリリース 1、2
日経新聞の記事によれば、買収額は883億円、プレスリリースによれば、クリスタルの連結純資産が791億円、そのうちグッドウィルの持分は67%とのことですから530億円、買収額との差額約350億円がのれんとなって計上されるのでしょう(厳密には資産負債の時価評価などにより異なる)。
売上の大きさからすれば、350億円程度ののれんはたいした金額ではないのかもしれませんが、記事によれば、クリスタルは子会社が事業停止命令を受けた関係で、グループ全体の業務に大きな影響が出ているそうですから、楽観視はできません。
また、少数株主の持分が差し引き33%あり、連結決算上の少数株主持分は約260億円になります。グッドウィルは今回の買収を借入でまかなうようですので、株式交換と違って純資産は増えません。グッドウィルの2006年6月第1四半期では、純資産が約500億円ですから、その約半分に匹敵する少数株主持分が新たに生ずることになります。(この少数株主とはいったい誰なのでしょうか。)
こういったスキームは、ビジネス・ロンダリングとでもいえばいいのでしょうか。いずれにしても、東証1部上場会社の傘下に入ることによって、あこぎなことができなくなるとすればいいことだとは思いますが・・・。
監査人も、年度の途中で売上規模が4倍になってしまうというのは、たいへんです。監査計画を1から組み直す必要が出てきます。
(補足)
上記でいっている「純資産」は正確には少数株主持分を含みますが、ここでは除外した金額として考えています。
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