農協の外部監査費用を税金で負担するかどうかが論争になっているという記事。
「2019年度から農協の義務となる公認会計士による監査の費用を、税金で負担するかどうかが論争になっている。全国農業協同組合中央会(JA全中)が「配慮」との表現で、国からの補助を求めているためだ。企業であれば監査の費用は経営に必要なコストだが、JAは政治を頼って負担を逃れようとする。農協の自立は遠い。」
「現在は農協に対する監査をJA全中や、都道府県ごとの組織である中央会が担う。200億円以上の貯金を預かる農協などが対象で、農協全体の約8割が監査を受ける。改正農協法でこの監査業務は19年度から公認会計士に移る。」
「いわば経営に必要なコストが問題になるのは、16年施行の改正農協法で導入時の負担に政府による「配慮規定」があるためだ。ある与党議員は「これまでより多くの監査費用がかかるなら、国が面倒を見るべきだ」と主張する。」
会計士協会の「監査実施状況調査(平成28年度)」で、信金・信組・労金監査の監査報酬を見ると、最も数が多い預金等総額2,000億円未満の区分で、平均が6,875千円(最高14,000千円、最低2,700千円)となっています。農協は、銀行業務以外もあるので、これよりは大きな金額になるのでしょうが、いままでJA全中などがやっていた監査はなくなるわけですから、新制度による監査費用がまるまる農協の負担増ということでもないでしょう。本当に「監査コストはJAの死活問題」(日経記事で引用されている公明党議員の発言)というほどの大きな金額になるのでしょうか。
何らかの「配慮」が必要だとしたら、公的な機関で農協向けの標準的な監査手続書やその他監査ツールを開発・公開するなどにより、地方の中小監査法人や個人事務所が農協監査に参入しやすくして、報酬や出張費が高くなりすぎないようにすることも考えられます。(今からでは遅いかもしれませんが)
当サイトの関連記事(農協監査費用に関する調査などについて)
当サイト記事でもふれましたが、農協監査の費用については、農水省が大手監査法人に委託して調べています。
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平成 28 年度農協監査・事業利用実態調査における農協の監査費用に関する調査委託事業
調査報告書(PDFファイル)
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