会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

太陽電池で大ヤケド、"名門"トクヤマの失態(東洋経済より)

太陽電池で大ヤケド、"名門"トクヤマの失態
社運を懸けた事業で1200億円の減損損失


大手化学品メーカー、トクヤマが、マレーシアでの投資で大赤字になっているという記事。

「同社は1月29日に緊急の業績修正会見を開き、2015年度の決算が1030億円の最終赤字になる見通しだと発表した。100年近い歴史の中で最大の赤字額で、2期連続の最終赤字に沈む(前期は653億円の赤字)。財務体質の悪化は著しく、通期決算を発表する4月末までに、資本対策を含む再建策をまとめる。」

「巨額赤字の震源地はマレーシアだ。太陽電池(太陽光発電パネル)用の多結晶シリコン生産に向け、現地に2つの大型プラントを建設したが、事業の前提が根底から崩れて投資回収が困難になった。

そのため、2014年度に第1期プラントを減損(減損処理額は748億円)したのに続き、2015年度はより大規模な第2期プラントについても、ほぼ資産計上額の全額に相当する1234億円の減損処理に追い込まれた。」

記事では、この大型投資失敗の経緯が書かれています。

監査人は中小監査法人のようですが、役目をきっちり果たしているのでしょう。

また、この第3四半期で関係する固定資産全額の減損を行うとはいえ、償却費前で赤字となっている事業なので、完全に膿を出し切ったわけではないようです。

「同プラントにおける太陽電池用シリコンのキャッシュコスト(償却負担を除く生産コスト)は現在、1キログラム当たり20ドル弱。つまり、償却負担がゼロでも、現在の市況では依然として逆ザヤ状態の操業赤字が続く。」

会計上は、この部分は、将来の営業損失なので、現時点で引当するという理屈はありません(請負契約のような顧客に対する製品提供に関する法律的な義務はないため)。市況が改善しない限り、ずるずると、赤字が継続することになります。
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