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令和4年公認会計士試験論文式試験の試験問題 及び答案用紙について(金融庁)

令和4年公認会計士試験論文式試験の試験問題及び答案用紙について

8月19日~21日に実施された令和4年公認会計士試験論文式試験の試験問題が公表されました。

監査論と財務会計の問題をちらっとみてみましたが、どれもすぐには回答が思い浮かばないようなものばかりです。

監査論の第1問は、監査基準改正関連と思われる問題など(「近年,アサーション・レベルにおいて,重要な虚偽表示リスクを構成する固有リスクと統制リスクを分けて評価することが求められ,特に固有リスクの評価が重視されるようになった。このように固有リスクの評価が重視されるようになった理由を説明しなさい。」)もありました。(固有リスクと統制リスクを分けて評価するのは、昔からやっていたと思いますが...)

第2問は、「不正による財務諸表の訂正に対する監査人の対応」ということで、子会社の経営者による不正、四半期レビュー、訂正報告書の監査など、多くの要素が盛り込まれています。四半期レビューをやっているときに、不正疑惑が発覚するというのは実際にありそうな事例ですが、結構難しい応用問題です。

財務会計は、概念フレームワーク(実務では登場しませんが学者は好きなのでしょう(企業会計原則の代わり?))、(包括利益計算書ではなく)株主資本等変動計算書、収益認識会計基準、税効果会計、新株予約権、退職給付会計、最後の大きな問題は連結財務諸表(実務対応報告第 18 号の設問含む)です。

(補足)

令和4年公認会計士試験・論文式試験の問題・答案用紙が公表されました! 2023年合格目標の受験生は今後どう活用する?(会計人コース)

「今の時点で問題を解く必要はありません。

というのも、今年の問題の場合、上記の通り、財務会計論(会計学)と監査論が特に難しく、修了考査レベルではないかという見方もあるほどです。

したがって、試験問題の形式面を今後の学習における参考にするという気持ちで、「見る」ようにするとよさそうです。」

コメント一覧

kaikeinews
今の受験生の勉強内容はよく知りませんし、監査の実務からもはなれているので、問題の良否を決めつけるつもりはないのですが、監査論の事例問題は、監査論を勉強し始めて1年か2年しかたっていない人には、難しすぎるように思います。TACの問題解説でも、一部を除いて「ほぼ埋没となっている可能性がある」といっていますね。

四半期レビューの途中で不正が発覚し(しかも海外子会社)、会社主導で調査委員会を設けて調べる、過年度決算にも影響しそうだというのは、上場会社の監査ではありうる事例でしょう。しかし、試験問題としては、四半期レビューを絡ませずに、通常の監査の例として、聞いた方が、回答しやすいでしょうし、勉強しているかしていないかの差もつきやすいでしょう。また、四半期レビューの結論についてきいているというのも疑問で、むしろ、不正が発覚した以上、質問と分析だけでは不十分で、追加的手続を行うべきという手続面の方が重要だと思われます。海外子会社での不正ということで、構成単位の監査人の利用の論点が重要かと思えば、それは聞いていないようで、肩すかしな感じです。

第三者委員会もいくつか論点があり得るでしょうから、専門家の利用という観点から、というように、ヒントを与えて、基本的な知識の応用を見る方が親切でしょう。

そもそも、「状況1」では、不正に関する調査が終わっていない状況なわけですから、本来は、四半期レビューの作業を延長して、調査が終わるまで、レビュー報告書を出さないという選択肢もあるはずで、そのようにしているケースも多いと思います。実務を忠実に反映するという意味では、むりやり四半期レビュー報告書を出すという事例が適切なのかどうか疑問です。

「S社の CEO がS社においてペーパー・カンパニーに対し架空発注を行い,そのペーパー・カンパニーを通じて,自らに資金還流させ,不正に利得を得ていた」「S社の CEO の独断専行」といった情報は、興味深い内容ですが、模範解答を見ると、回答にはほとんど関係ない情報で、そこからヒントを得ようと一生懸命考えた受験生は徒労感があるでしょうね。

訂正報告書の監査も、実務上確たるルールがあるのかどうか...。TACの解説によれば、協会の「提言」からもってきているようですが、「提言」は強制力のあるルールではないでしょう。

やはり、四半期レビューを出題したというのは、四半期レビュー廃止論がいわれているなかで、四半期レビューは重要な役割を果たしているのだという主張を込めているのでしょうか。

TACの模範解答。

https://www.tac-school.co.jp/kaitousokuhou/downloads/147_R4%E8%AB%96%E6%96%87%E6%9C%AC%E8%A9%A6%E9%A8%93%E3%80%90%E7%9B%A3%E6%9F%BB%E8%AB%96%E3%80%91.pdf
通りすがり
会計大学院で監査論を教えています。某大学の財務会計の教授は批判的なコメントを出されているようですが、監査論の問題はよい問題だと思います。ただ、第2問の問題2の問2及び問3が修了考査レベルかもという見方にはうなづけます(私が受験した40年前とはまったく異なる実務的な問題)。とはいえ、これまで、受験生が、1科目分の時間と努力を監査論につぎ込んでこなかったことも確かでしょう。昔より、合格率という点でははるかに楽になったものの、おっしゃる通り、会計学の問題は難しくて、今の私にはとけないですね。
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