日本証券業協会が、新規株式公開や新株発行などの公募増資を証券会社が引き受ける際の審査体制強化へ向けたルール案を固めたという記事。
審査機能を営業部門から分離するとのことです。
その他、転換価格修正条項付新株予約権付社債(MSCB)について、株式に転換できる「スピード制限」を新たに設けるようです。
「「会員における引受審査のあり方等に関するワーキング・グループ」における検討状況(最終報告)」の取りまとめについて
コンフォートレターについてもふれています。「昨今、公認会計士の保証業務の明確化やリスク管理の観点から、一部の監査法人からコンフォートレターが受領できなかったり、記載が不十分であるものが多々見受けられ、会員が行う引受審査に支障が生じていた」そうです。(要するに今まで会計士は、保証業務であるという認識もなく、またリスク管理の必要性も感じないで、コンフォートレターを出していたということでしょうか。)
そして「今後のあり方として、欧米のコンフォートレター制度における、元引受証券会社、監査人及び発行会社の三者間の協調・連携関係のあり方等も参考としつつ、投資家保護の観点から、我が国のコンフォートレター制度が形骸化することのないよう、今後とも双方の業界レベルでの建設的な話し合いを継続していくとともに、関係当局も含め、その位置付けについて適切な議論がなされるべき」というあたりさわりのない結論になっています。
MSCBについては「MSCBの方が結果として既存株主負担が小さくなるケースも少なくなく、実際には株価への影響を抑えながら円滑な自己資本の拡充が行われたケースも多いことが実証されている」という擁護論を最初に展開しています。
またMSCBの発行条件については、十分な検討が必要といいつつも、従来からの発行決議日の直前における時価の90%相当額を下回らないという基準も認めるような書き方になっています。
「当該指針(証券業協会の「第三者割当増資等の取扱いに関する指針」)においては、株式の第三者割当増資における価格決定にあたっては、原則として発行決議日の直前における時価の90%相当額を下回らないように要請を行っているところであり、また、この考え方は過去に東京地方裁判所において一定の合理性のある考え方であるとされているが、MSCBの条件決定にあたっては、複数回に亘る株式の第三者割当スキームと実質的に異ならないとの見方もあるものの、本来、発行体の信用リスク、社債の利率を含む発行条件、買受人が負う価格下落リスク、株式の消化可能性等の観点から総合的に判断すべきものであり、これらの事象を踏まえ、十分な検討が行われることが必要であることに留意すべきである。」
時価と行使価格の差額が引受人のもうけになるわけですから、証券業協会が厳しく制限することは期待できません。
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