8月9日に子会社での不正発生を公表したリンコーコーポレーション(東証2部上場)で、問題の子会社の前社長が、親会社のリンコーには取引内容を報告していたと述べているという記事。
「港湾運送会社リンコーコーポレーション(新潟市)の子会社「臨港商事」(同)が東京都内の機械製造販売会社に提供した資金のうち12億円が回収困難になっている問題で、臨港商事の前社長が、朝日新聞の取材に対し「親会社のリンコーには取引内容を報告していた」と語り、親会社にも一定の責任があるとの見解を示した。リンコーは、臨港商事の前社長と現社長が「独断」で経理処理していたと発表しており、取材にも「社内調査で『独断』と判断した」としている。」
当社連結子会社における不適切な経理処理の判明 及び子会社における債権の取立不能又は取立遅延のおそれに関するお知らせ(PDFファイル)
まず、8月9日の会社のプレスリリースでは、不正だという取引について次のように述べています。
「当社の連結子会社である臨港商事株式会社において前渡金が増加し回収期間が長期化したため、当社で内部調査を進めておりましたところ、平成18 年8月から平成22 年6月にかけて、同社前社長及び現社長の独断により、取引先に対し金融支援を行い、前渡金を提供し続けるなどの不適切な経理処理が行われていたことが判明いたしました。また、前渡金を提供していた取引先の経営状態、資金繰りが極度に悪化していることから、現時点で約12 億円の回収懸念債権の発生が見込まれております。」
朝日の記事では前渡金の動きについて、もう少し詳しく触れています。
「臨港商事の貸借対照表(財務状況を示す資料)によると、2005年3月期、06年3月期と2年連続で1千万円程度だった「前渡金」の残高は、07年3月期で4億4600万円と、前年の40倍以上にも急増している。08年3月期は8億円近くにも上った。この資料は親会社のリンコーコーポレーションにも提出されている。
だがリンコーによると、同社は前渡金の増加に気づいていたものの、回収困難だとは思っていなかったという。リンコーの山下和男・取締役経理部長は「臨港商事に不適切な経理があり、発見が難しかった。社内の監査をすり抜けた点では、うちにも問題があった」と話す。
取引内容の報告について、山下部長は「個々の取引の報告は受けていない。社内の調査で『独断』と判断した」としている。」
親会社の言い分と子会社前社長の言い分のどちらが正しいのかはわかりませんが、貸借対照表をみると流動資産が50億円台の会社であり、前渡金という(業種にもよりますが)あまり使われない科目ですから、やはり8億円というのはそれなりに大きな金額であり、異常な取引だと気がついてもおかしくはないでしょう。
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