会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

「日本の刑事司法制度」のここがおかしい!(東洋経済より)

「日本の刑事司法制度」のここがおかしい!
オリンパス横尾とキャッツ細野が激白対談


オリンパス巨額粉飾事件とキャッツ株価操縦事件でそれぞれ逮捕・起訴された野村證券の元高崎支店長、横尾宣政氏と会計評論家の細野祐二氏の対談記事。

横尾氏や細野氏が無罪かどうかは別として(有罪だとしても主犯である経営者よりひどい目に遭っているのは不公正)、特捜部がおかしいということはわかります。

「――細野さんは4月25日に「横尾宣政さんの再審無罪を支援する会」を結成しました。なぜですか。

細野 横尾さんは無実だからだ。私は『粉飾決算VS会計基準』(2017年刊)において横尾さんの無罪を主張したが、今回、事件記録一式を拝見して、横尾さんの無罪をさらに確信するに至った。横尾さんは完全に無実であり、そのことに私は100%の自信がある。横尾さんは966日も拘留された。それ自体信じられないことだが、長期勾留はいかに有罪の証拠がなかったかの裏返しだ。」

「細野 横尾さんがオリンパス事件の細部に分け入って無実を主張しても、理解するには金融の専門知識が必要であり、世間は聞く耳を持たないだろう。横尾さんが世間にまず訴えるべきは966日間も拘留されたという事実。逃亡や証拠隠滅の恐れがないのに保釈申請が却下されたということだ。

次に世間に訴えるべきことは、横尾さんが設立したグローバル・カンパニーの部下のうち、羽田拓・元取締役は966日間、小野裕史・元取締役は831日間拘留された一方で、主犯であるオリンパスの菊川剛元会長、山田秀雄元常勤監査役、森久志元副社長はわずか40日しか拘留されていないことだ。どう考えても常識としておかしくないだろうか。」

「――横尾さんに限らず、裁判官の書く判決文ではどの証拠をどのように評価したのかが明らかにされません。

細野 私の事件も横尾さんの事件も、判決理由だけを聞くと無罪かと思ったと言われたが、これはざらにあることだ。というのも、現行刑事訴訟法上、証拠理由を判決文に書かなくていいことになっているからだ。どの金の出入りに基づいて、などと具体的に書かなくてよいことになっている。「甲1号証により」と標目だけを書けばよい制度になっている。

戦前はこんな制度はなかった。東条英機内閣になり、第2次世界大戦が激しくなると灯火管制(戦時中の照明使用の制限)がなされた。敵機が来襲すると電気を消さなくてはならず、真っ暗闇の中では判決文が書けない。そこでやむをえず証拠の標目だけでいいということになった。戦時刑事特別法の改正案ができて、証言をやっている暇がないということで、取り調べ調書だけでいいことにしようということになった。

戦争が終わって平和な世の中になり、灯火管制も敵機来襲もなく、戦時刑事特別法は廃止されたが、現行の刑事訴訟法に、監禁密室で取られた検面調書を公開の法廷における証言より信用できる特信情況として証拠採用したり、判決理由は証拠の標目だけでいいという制度が残っている

横尾さんの判決も判決理由だけを読むと無罪。しかし、菊川氏らの調書のほうが正しいと言うことで有罪にされている。」

「細野 GHQの占領下において、旧日本軍や財閥の隠匿退蔵物資が国会の地下にあった。それを横流しして暴利を貪っているという実態があった。当初GHQは戦前の特高検察を軍国主義の温床として嫌い、検察官による事件捜査を認めなかった。隠匿退蔵物捜査は警察が行った。ところが警察で捜査したところ、日本の警察捜査は優秀で、隠匿退蔵物資の捜査対象はGHQ幹部にまで及ぼうとした。慌てたGHQは、隠匿退蔵物捜査から急遽警察を排斥し、検察の中に隠匿退蔵物の捜査機関を設けて戦前の公安検察の生き残りにその捜査をやらせた。結局、隠匿退蔵物事件ではGHQ幹部は誰も逮捕されていない。これが特捜部の始まりだった。それが今でも続いている。」

それにしても「キャッツ細野」という命名はインパクトがあります。
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