突然業務停止に陥り破産手続き中の中古車カーシェアリング会社が、「空ローン」をやっていたらしいという記事。
「高級中古車のカーシェアリングを行う会社が突然業務停止に陥り、600人以上の投資者がローン地獄に陥っている問題で、破産したSKY CAR SHAREグループ(以下Sグループ)4社の破産手続きを請け負っている管財人が被害を受けた投資者に対し、「未納車」に対する「自動車の存否に対するご連絡」(重要)という調査結果を送付していたことがわかった。
Sグループの投資案件に参加した投資者は約600名、車両台数は650台前後とみられる。1人で複数台を契約している投資者もいる。「未納車」とはこの650台の中に含まれる90台の「納車されていない」車のことである。」
「Sグループ側の言葉を借りれば「納車が追い付かなくて、まだ納車されていない。しかしいずれは納車される車両」ということだが、実際に車は存在していなかった。また、納車する気もさらさらなかったのだろう。いわば「空ローン」と同様だったのである。」
会社は、中古車を高い値段(仕入れ価格の3~4倍以上だそうです)で投資家に販売します。その際、投資家名義でローンを組ませ、ローン代金の1割を謝礼として投資家に支払います。車両は会社が預かり、シェア車両として運用(形式上は賃貸ではなく投資家と車両利用者の間の「共同使用契約」)、その運用収入で、ローンを返済し投資家に還元するというスキームのようです。
ところが、実際には一部の車両が存在しないものだったそうです。
「スカイカーシェアが運営されていた当時は、もちろん、未納のままだとは知る由もないわけで、中には今回の管財人からの手紙で初めて、自分が契約していた車が未納車であることを知った投資者も存在する。そして、破産手続きが進められる中で管財人が決定し、12月上旬に未納車オーナー全員に冒頭の手紙が届いたというわけだ。
そこには、<そもそも最初から存在していなかった車>であると記されている。関係者の話によると、「そのうち納車するつもりだったし、詐欺でも空ローンでもない」と主張していたようだが、管財人の調査で最初から存在していないことが明らかになってしまったことになる。
そして、管財人からの手紙にもあるように、未納車購入のローンはすべて銀行で組まれていた。筆者が未納車オーナー10名以上に話を聞いたところ。やはり全員が銀行だった。その理由は、銀行だけはローン審査の段階で、車検証などが必要なく、車名と年式だけあれば融資が引き出せるからだ。
つまり、存在しない車両についても銀行ならローンが組めてしまう。いわゆる「空ローン」も可能となる。」
「空ローン」でなくても、ローンを組まされた投資家が損するスキームだったようです。
それにしても、銀行はローンを実行するときにどういうチェックをしていたのでしょう。
銀行以外には信販会社が使われていたそうですが、最近になって、信販会社は、このようなビジネスは違法だという趣旨の文書を加盟店に出しているそうです。
「「カーシェアリングビジネスを目的としたオートクレジットの不正行為について」という文書には、名前こそ出ていないものの、まさにSグループが展開していた勧誘トークそのままの内容が記されている。
<高級車のオーナーになってカーシェアビジネスをしませんか>
<ローンの支払いはカーシェアリング会社がしますよ>
<契約時に数十万円の謝礼を支払いますよ>
<カーシェアリングの収益が毎月分配されますよ>
そして<オートクレジットで契約した車両は信販会社に所有権が留保されており、他人に譲渡したり賃貸することは約款で禁止されております>と、このビジネスが違法であることが明記されている
信販会社に所有権がある車両の場合、他人に対して売却・譲渡・賃貸・質入れなどの行為は「割賦販売法(改正)」において禁止行為となっている。Sグループの場合、上記の禁止行為のうち、「賃貸」に相当するだろう。」
信販会社もチェックが甘かったのでしょう。
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