日本公認会計士協会は、監査・保証実務委員会実務指針「工事進行基準等の適用に関する監査上の取扱い」(公開草案)を、2015年2月13日付で公表しました。
「工事進行基準の適用に当たっては、会計上の見積りの要素が大きく、工事進行基準の適用に関連する不正事案が散見されることを踏まえ、検討されたもの」とのことです。
以下のような監査のプロセスに沿って、留意点が述べられています。
リスク評価手続とこれに関する活動
1.重要な虚偽表示リスクの検討
2.不正リスク要因の検討
3.内部統制の理解
4.前年度の会計上の見積りの確定額又は再見積額の検討
リスク対応手続
1.評価した重要な虚偽表示リスクへの対応
2.評価した不正による重要な虚偽表示リスクへの対応
3.運用評価手続
4.実証手続等
例えば、「不正リスク要因の検討」では、過去の不正事例の理解が有用であるとして、以下のような事例を挙げています。
・意図的な工事契約の認識の単位の設定による工事損益率の調整
・工事収益総額が注文書又は契約書(以下両者を含め取引に関する合意の確証として交わされる文書を「契約書等」という。)で確定していない場合の工事収益総額の不適切な見積り
・実現可能性の低い原価低減活動による原価低減を考慮した工事原価総額の不適切な見積り
・工事契約の管理者が故意に外注業者等又は会社内部の者と共謀し、発生した工事原価を異なる工事契約の工事原価とする等の原価の付替えを実施することによる工事原価の操作
・工事契約の管理者が故意に外注業者等又は会社内部の者と共謀し、発生した工事原価を故意に計上しない又は架空原価を計上することによる工事原価の操作
・工事契約の管理者が故意に外注業者等又は会社内部の者と共謀し、作業実績時間等の操作を行うことによる工事原価の操作
また、「内部統制の理解」のところは結構詳しく書かれているので、企業にも役立つかもしれません。
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