日本公認会計士協会は、東京証券取引所が上場会社に確保を求めている「独立役員」に公認会計士が就任する場合の考え方について、業務本部審理ニュースとして取りまとめ、2010年3月8日付で公表しました。
具体的には、監査法人に所属していた公認会計士が、監査法人を退職した後、その監査クライアントの社外取締役又は社外監査役に就任し、「独立役員」の指定を受けるに当たり、コーポレート・ガバナンス報告書に一定の事項を開示することが要求されるのかどうかについて説明しています。
東証ルールでは、事前相談や開示が必要な例として「当該会社から役員報酬以外に多額の金銭その他の財産を得ているコンサルタント、会計専門家又は法律専門家(当該財産を得ている者が法人、組合等の団体である場合は、当該団体に所属する者及び当該団体に過去に所属していた者をいう。)」が挙げられており、監査法人退職後、監査クライアントの社外役員に就職する会計士が、これに該当するのかが問題となっています。
協会の回答は、一言でいえば該当しないということです。監査法人は監査クライアントに対して独立性を求められているのだから、過去にそこに所属していたからといって、また、監査法人が監査報酬として多額の金銭を受け取っているからといって、独立役員としての独立性が損なわれるわけではないという理屈でしょう(ただし報酬依存度のことについて少しふれています)。
監査チームからすると、監査法人を退職したパートナーが、今度は会社側に立って、監査チームににらみを利かせるというのが、一番やりづらい状況かもしれません。しかし、これは、独立役員の独立性の話ではなく、監査の方で要求されている独立性の話になります。
今3月期に係る主なガバナンス強化項目は6つ2010.03.08
経営財務3月8日号によれば、今3月期の主なガバナンス強化項目は6つあるそうです。
東証ルールによる独立役員の確保、コーポレート・ガバナンス体制に関する開示の充実のほか、開示府令(一部はまだ案の段階)による第三者割当・MSCBに関する開示の充実、役員報酬の開示、持ち合い株式の開示、議決権行使結果の開示などが挙がっています。
1億円以上の役員報酬開示 経団連会長が反対表明
(補足)
商事法務の1月25日号に掲載されている東証の担当者による解説がわかりやすいと思います。「独立役員の確保」や「独立役員の開示」(後者の方が範囲が広いそうです)についても簡潔に説明されています。
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